番組審議会

第78回 放送番組審議会議事録

1. 開催日時:平成14年11月27日(水) 午後3時
2. 課題番組:「月曜時代劇・子連れ狼」
          毎週月曜日 19時00分~19時54分(54分)放送
3. 記事の概要:
・原作や以前のシリーズとは、父と子の主従が逆転している。原作もテレビもオリジナルの幹は、父の生き様、確かに大五郎がいなければ暗いだけのストーリーだが、大五郎のドラマでの役割は、あくまで父と子がかわす親子の情、絆と父に似る賢さ、胆力とにあって、光ってはいてもあくまで脇(連れ)である。一方、今回は、どうも筋立てからもカメラからも明らかに子の大五郎の方が主役で、父一刀は付き添い役(引立役)にすぎないとみえる。「子連れ狼」が「子狼」にというわけでの今の時流を映していると感じた。

・劇画がべースになっているので、若干誇張や、事実では有り得ない場面も見られた。もっとも、物語自体の性質が、写実的に劇を構成するのではなく、虚構で楽しませる要素の強い番組ではある。ただ、その分だけ場面での緊迫感は減少せざるを得ない。

・話の内容が少し込み入って分かりにくかった。話の筋道を複雑化して、登場人物の気持ちが錯綜することで、内容に深みを持たせようとの制作意図が感じられるが、その分ストーリーを難解にしている。

・全編にメインテーマとして『親子の情愛』を据えていることが分かるが、子連れ狼自身が、大五郎と自分との関わりを深く考えるといったシリアスな親子関係を見せても良かったのではないか。「拝一刀は子離れができてない」といえば極論だが、例えば「子供に執着している」面、あるいは「子供の成長を見ながら自分の老いを知る」逆に「大五郎の方から親の老いを察知する」といったとらえ方も面白いのではないか。劇画をベースとしながらも、脚本はもっと冒険しても良いのでは。

・映像は、ロケーションなど細部にも心配りされていて、大変綺麗であった。キャストも一流を配して、演技も秀逸であった。

・本格的な時代劇は、家族が楽しむTV番組として今も根強い人気がある。米国に『西部劇』があるように、我が国にも『時代劇』がありこうした番組が復活する事は、一般視聴者の方々の楽しみを増加させるものとなる。

・善人は顔の表情がそれなりの人を、悪者は「おまえもワルよのう」の言葉通りのキャラクターそのものであった。

・時代と共に斬られた人の血の出方がだんだん少なくなってきたように思われる。これも残虐な表現を控える世相の表れなのかも知れない。

・たいへん面白くて、退屈せず一気に見た。ロケーションにも拘っているようで、滝のシーンなどいろいろと趣向を凝らしている。

・「次も見てみようか」という気持ちになった。

・やはり時代劇には根強い人気があるようだし、視聴率のデータをみても上昇傾向にあるようだから、今後が楽しみである。

・キャスティングについては、拝一刀を演ずる北大路欣也さんはまともすぎというか、正統派俳優なので、拝一刀という役柄、ニヒルで冷徹な雰囲気を出すにはどうか。

・今回の「子連れ狼」は劇画や、前のシリーズと比べても入りやすい。ただ、この時間帯は他局も視聴率が稼げる番組を投入しているので、視聴率を獲るのは大変だと思われる。

・一回一回を丁寧に作っているのが感じられ、オープニングの主題歌やバックのCGも良かった。

・放送時間が食事時であるため、流血が激しすぎれば、歓迎されない。「流れる血が少ない」というのは、この時間帯の特性を良く考えている。

・この番組では難しい漢字の言葉がたくさん出てくるので、「メイフマドウ」(冥府魔道)、「コウギカイシャクニン」(公儀介錯人)とか、特別難しい言葉については、視聴者の理解のために何か文字をスーパーインポーズで出すなどの工夫があればよい。

・ストーリーの成り立ちが、時代劇にありがちな単純な「勧善懲悪」ではなく、主人公の「拝一刀」も必ずしも正義の味方ではない。複雑な事情を抱えながらの人生であり、旅をしながら、人を斬ることの重さ、刺客の宿命のようなものを少しずつ背負っていく、最後も完全なハッピーエンドではない。このドラマが最初に出てきたときは、おそらく時代劇に新たな世界をもたらした、斬新なものとして受け止められたろうと思う。

・放送時間については、やはり19時というのは少し早すぎる、しかし、時代劇を見ている年配の方にとっては、ちょうどいい時間帯なのかもしれない。ただ、食事時というところは少しひっかかる。

・ナレーションについては、(個人的な好き嫌いかも知れないが)岸田今日子さんは「ムーミン」の印象が強烈で、妙に重々しいナレーションを聞いていると、ふと笑いそうになったりして、大いにとまどった。

・こういう物語は、時代劇というシチュエーションに置くことによって、フィクションをフィクションとして受け取りやすくなる、毒々しさが和らぐのだと感じた。願わくば同じ歴史的なフィクションであっても、映画の「ハリー・ポッター」とまでは言わないが、子供も一緒に楽しめるようなものがあれはいい、そういうものが今欠けている。

・一般に時代劇には、一人ぐらいは三枚目というか、何か気持ちを和らげる役どころがあるが、この「子連れ狼」にはそういう役が出てこない。敢えて探せば「大五郎」という役どころにそういう要素がないことはないが、「大五郎」はそういう役割を予定された役柄ではないと思う。

・以前のシリーズの印象が強すぎて、戸惑った。「水戸黄門」の黄門役の代替わりには別段戸惑わないが、以前の若山富三郎さんとか萬屋錦之介さんに比べて、今回の北大路欣也さんはいささかきれい過ぎて大きなギャップを感じた。

・番組を見ていて、時代劇の本格派俳優が少なくなった、いなくなったという強い想いを持った。今は「誰でもタレント」「誰でも俳優」の時代だが、新たな本格派俳優の登場が大いに望まれる。この番組を含めて、若手の俳優を客演させて、育成していくようなしくみができないか。若手の俳優の励みにもなる。俳優が勉強しているかどうか、稽古を積んでいるかどうかが最も如実に示されるのが時代劇だと思う。そういう新しい時代劇を待ち望んでいる人は多いと思われる。

・時代劇を通じて、言葉のことや歴史のことに関心を持つということもあってよいし、そうであって欲しい。こういうドラマだと、リラックスして見られるというところもある。

・一刀の妻「あざみ」の役作りが安っぽい。

・「時代劇」に「教訓」を求めるべきではない。

・この物語においては、父と子の情愛は物語の従たる意味しかないと受け止めるべきだ。

・子役が素晴らしい。

・テーマ曲が哀愁を感じさせるもので、物語の内容に相応しい。

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