番組審議会

第86回 放送番組審議会議事録

1. 開催日時:平成15年9月24日(水) 午後3時
2. 課題番組:「グレートマザー物語」
          毎週日曜日 18時30分~18時56分(26分)放送
3. 記事の概要:
・短いタイトルから番組のイメージをストレートに感じることができる。これに代わる日本語のタイトルはなかなか思いつかなかった。シンプルでスマートなタイトルである。

・どの物語も親が子を思う心、子が親を思う心を、それぞれの人生の生きざまを通して考えることのできる、非常に質の良い番組であると思う。

・あらためて、いつの時代でも、どのような世界でも変わることのない、母親の子供の育て方、また、子供の育ち方といった中での母と子の関係を感じることができた。

・全体の流れとしては、子供のときに感じた母親への気持ちから始まり、大人になるまでの親とのやりとり、さまざまな心の葛藤、そして、やっと心の底から親に対して感謝できるときは、自分が老いたとき、もしくは、もはや亡くなってしまった親をもう一度見つめ直すときである。そういった、本当は永い永い人生の流れを追いかけたストーリーであるが、それを30分という短い時間の中で構成していくのは、なかなか難しかったのではないか。

・今まで100話を超えて番組が続いているが、よくここまで続いたものだ。男の親、父親の場合は、賭博や酒で身代を潰したとか、はたまた、裸一貫から大成功したとかいうようなドラマ性に事欠かないと思うが、女の親、母親、特にこの番組で取り上げられているような母親は、この人達が生きてきた時代背景から考えても、父親のような破天荒なところは見られず、いわゆる「良い母親」で子供のことも十分理解がある。「よい母親」のイメージの大きな流れが一連の番組全体を支配している。すると、どの話も根本のところでは同じメッセージを持っていて、同じパターンになってしまう。「母親の愛」、「温もり」、「陰ながらの応援」というような言葉で括られてしまうような気がする。

・30分以上の番組にしようとすると、ダラダラした感じになってしまい、視聴者の集中力が続かないのではないか。

・番組を見るとほっとする感覚、造りが巧くて、ちょっと見させるという部分があり、リラックスしてゆったりと座って見ることのできる番組。見ていて癒される番組だ。

・いろいろな人の母親が取り上げられており、その母親達が深いところで一つに繋がる要素を持ちながら、しかし、各人各様に異なった部分を持っていた。表現の手法を変えながらいろいろな人の母親の人物像を表現しているが、何れも十分に描き切っていて、見飽きなかった。

・若い母親が見ると、子育ての上で何か手がかりが得られるような番組ではないか。今の母親というのは、この番組に出てくる母親のように、子供に対して経済的にも献身的に尽くすとか、身を以って生き様を教えるとかいう部分が希薄である。そういう今の母親がこの番組を見ると、気付かされるところが沢山あるはずだ。

・ナレーターの森本毅郎さんの語り口が淡々としていて、嫌味がなく、お涙頂戴というような押し付けがましいようなところもなく、こういう番組にありがちな説教めいたところもなく、シンプルな感じに仕上がっている。

・最近の放送分は男性の母親ばかりが続いていて、女性の母親が取り上げられている回を見ていないが、感じたことは、母親から見ると何歳になっても、男の子は「こども」なのだということで、自分の子供に対する接し方についても、もう一度考え直すべきところはないのか考えさせられた。

・この番組がどういった視聴者に向けて作られているのか気になった。裏に「サザエさん」があるので、放送時間や曜日を変えたら、もっと見やすくなって、視聴者も増えるのではないか。

・途中で小休止みたいなスタジオ部分が挟まらず、見ている人の集中力が持続すると同時に、それによって出演者と直接対話をしているような親近感が出てきている。そのあたりは、この番組が長く続いている理由になっているのではないか。

・しばらく見ないでいても、いつかまた見たくなり、チャンネルを合わせたくなる。そういう番組だ。

・話題を厳密に母親だけに限定しなくてもいい。番組の中の話題で「これは面白い」というところがあれば、主題から少し離れても良いから、話題を広げさせてもいいのではないか。「お母さんもすごいが、そのお母さんが愛したお父さんもすごいぞ」というような話になってもいい。

・番組では、貴重な映像もあって、これだけのものをよく集められたものだと感心した。また、番組全体としては、「お母さんの物語」というよりも、番組のコンセプトとされている「母はあなたに何を叱り、何を褒めたのですか」という部分が、深く印象に残った。

・作り方は、一回の放送でドラマが完結していて、気軽に見ることができる。ただ、話題のとりあげ方は、少しずつ違っていて、例えば、あくまでもお母さんを中心とした構成の仕方、そうではなく子供の方が中心になっていて、「こういう立派な○○さんのお母さんは…」という形の構成など作り分けていて、飽きさせないようになっている。

・世間では往々にして子供の出来不出来で親が値踏みされるようなところがあり、子供が成功すると、親はそれなりの人物として語られるということもあり、番組を見てそういうことを感じる視聴者がいるかもしれないと思います。

・この「グレートマザー物語」を今の子供に見せても分からないかも知れないし、「こんなのは時代錯誤だ」といわれてしまうかも知れない。それでも、この番組はこれでいいと思う。ただ、テレビ番組を制作するにあたっては、何か子供に分かるような形で、子供達に伝えるべきメッセージを送って欲しい。もっと一般化して言うなら、テレビは、その影響力の大きさを活かして、もっと子供に良い影響を与えて欲しい。今、子供が何か吸収しようとしても、今の親や教師や大人には与えるべき何かを持っていない人、何を与えれば良いのかわかっていない人が多すぎる。それなら、テレビを通じて、この「グレートマザー物語」のような温かい番組を制作し、放送して子供に見せてやって欲しい。若い母親が見るのも良いが、今の母親は目先の生活のことで頭がいっぱいで、この番組のメッセージを受け容れる余地がないかもしれないので、むしろ若年層に直接メッセージを伝えてもよい。

・母と子の絆は、父と子の絆とは全く違っている。母と子の絆は太く大きくて、切っても切れないもののようだ。ただ、この番組で取り上げられている絆というのは、母親としての女性にとっては、そうありたいし、そうであると思っていると思うが、立場を変えて、妻としての女性が夫を見たとき、日本的なウェットな母子関係、例えば、母親の遺品を見て涙を流す、というような夫をみたら、「男らしくない」「なんだマザコンじゃないか」ということで怒るという人は少なくないだろう。つまり、女性には母という立場と妻という立場の二面性があり、この両面は激しく矛盾、対立している。このような部分というのは、女性の心の中ではどう辻褄があっているのか。男性にとっては不思議な感じがする。

・父子関係は薄いというわけではないのだが、母子関係の異質性は否定できない事実のようだ。

・不思議なもので、親は子供を一方的に邪険に扱うのに、なぜか子供は親思いで孝行者になる、ということも少なくない。こういうことを考えると、経済的な貧しさは良い人間関係を生むのかもしれない。全てに恵まれていたら、却って親子の情も薄く、自分勝手な方向に走ってしまうという部分もあるのではないか。

・番組オープニングタイトルで、小犬が出てきてソファーにちょこんとすわるところは、何とも可愛らしいなと思った。

・母子関係というのは独特のもので、番組にしやすく、また、こういうテーマの番組は長続きしやすいのだと思った。作家の阿佐田哲也(色川武大)が「幼少時にべたべたに母親に愛された人は絶対悪人にはならない。母親から愛されたということで、一生まともな人間として生きていける」と言っているが、この番組が百話を超えて続いているというのも、母の愛の力はそれぐらい強く、深いということかもしれない。

・番組の作り方で一つ思ったのは、この番組に登場する人の母親というのは、ほとんどが亡くなっていて、その人達の生きた時代のことを考えても、自分の子供時代の母親の姿が写真として残っているということは少ないと思うのだが、貴重な映像や写真を集めて、スティルの写真と昔の記憶だけで番組を作っている。さぞ大変だったろうと思うが、それは成功している。

・この番組がどういう視聴者層に向けられていて、実際にどういう視聴者が見ているのかということも知りたい。

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