番組審議会

第105回 放送番組審議会議事録

1. 開催日時:平成17年7月25日(月) 午後3時
2. 課題番組:「長島三奈が見た青空のあした ~はばたく愛媛の球児たち~」
          平成17年6月18日(土) 午前10時00分~11時00分(60分)放送
3. 記事の概要:
・私は、もともと野球が好きではなく、プロ野球のナイトゲーム中継はほとんど見ない。それでも、高校野球は嘘がないからか、つい惹きこまれて見ることが時にある。有名な昭和44年の松山商業対三沢高校の対戦はテレビで観戦し、私としては稀有なことだが、松山商業の井上明投手と三沢高校の太田幸司投手の名前を覚えている。太田選手は、その後プロ入りしたのだが、そういえば井上選手はその後どうなったのかということは、時に思うことがある。だから、野球に関心の高い愛媛で、こういう番組を作ったという着眼は良かったと思う。ただ、残念ながら内容的には期待したほどのものではなかった。例えば、オープニングの部分で、かつての名場面のフラッシュバックがあったが、これが年代的にばらばらで分かりにくかったということは別として、番組の中で、もう少し詳しく振り返る部分があるかも知れないという期待を起こさせたが、そういう内容ではなかった。何より、何故長島三奈を起用したのか。私は野球に疎いので長島三奈と高校野球の縁というのは良く判らないし、個人的に長島三奈が好きとか嫌いとかいうことはないのだが、どう見てもレポーターとしては二流以下ではないか。愛媛でやるのなら、地元アナウンサーで十分できる。そして、その方がもっと中身の濃いものができたのではないか。内容的にも、名場面に満ちていたわけでもなく、長島三奈の話がダラダラと続いている。最後の松山商業の澤田監督、済美高校の上甲監督へのインタビューにしても、甲子園であれだけの実績を残した監督なので、素晴らしい話が聴けるのではないかと期待したが、期待外れに終わった。番組のねらいは良かったと思うが、内容、構成が杜撰だったと思う。

・この番組はOAで拝見した。こういう番組は、高校野球の盛り上げということにつながり、良いことだ。出演者については、出身校のバランス、現在の職業などいろいろ考えていると思うが、年齢的にもう少し幅を持たせられなかったか。もう少し人生を歩んでこられた方も取り上げると違う話が聴けて面白かったのではないかと思う。そういう意味では、60分の番組に選手6人、監督2人というのは多すぎたように思う。例えば、ああいう取り上げ方なら、お笑いの「牛若丸」はなくてもよかったのではないか。お笑いという異色さから取り上げたのかも知れないが、もう少し齢をとった人を出すほうがよかったのではないかと思う。また、鎌倉はプロ入りしたし、矢野の活躍も多くの人にとってまだ記憶に新しいので差し支えないのかもしれないが、他の人については、高校時代に具体的にどのような活躍をしたのかもう少し細かく知りたい気がする。監督のお二人については、結果的に話の内容が似通ってしまっているので、例えば、どちらかを外して、もっと若い、これから愛媛の高校野球を背負って立つような方のお話を聴くのも面白かったのではないか。

・監督のお二人は監督としての技量は素晴らしい方だと思うが、構成として監督を締めに持って来るというのは、如何にも平凡な発想のように思う。話の内容も月並みで、いま一つ聴かせるようなところがなかったように思う。

・番組の流れは自然で、すんなり入れて良かったと思う。個人的な好き嫌いは別として、長島三奈さんについては、親の七光り的な部分は否めないが、張り切り過ぎず、タレント的なところも感じられず、聞いていて聞きやすかった。有名タレントを起用していたら、素人である出演者とはうまく噛み合わなかった可能性があると思う。もう少し昔の人を出しても良かったというご意見には同感だ。私が子供の頃、松山商業が優勝し、そのときの投手の池田さんという方がとても有名になったのだが、その後どうなったかと思うことがある。ご本人が嫌がることもあると思うが、高校野球で活躍した人は、何もプロ野球に進むだけではなく、普通の世界でも活躍しており、高校野球で培った精神が活きているのだというところを見て見たいものだと思う。監督のお二人が新鮮味に欠けるというのも同感で、違う人にお話しを聴いたほうが良かったように思う。

・元球児を6人取り上げたというのは、多いようにも思うが、その後の進路の多様さを見ることができたというところもある。タイトルの「青空のあした」というのは、青い空に飛ぶ白球、そして、球児のその後という自然な連想を呼び起こす良い言葉だと思う。長島三奈さんは、名士の娘というところを感じさせることもなく、さわやかで良かったと思う。出場校のキャプテンへのインタビューも拝見したが、上手にきいていて感心した。スポーツをしている人は、往々にして喋らないものだが、うまく相手の視線に下がって話を引き出していたと思う。女子アナが下手にありきたりの紋切り型の質問をするよりも、野球をよく知っているだけに余裕をもって話ができていて安心して聞くことができた。ニュースステーションに出ておられたときは、舌足らずで何となく気に障るところがあったが、この番組ではそういうところもなく、好感が持てる。いろいろな分野の方が取り上げられていて興味深かったが、取り上げられている話題の中では、プロ野球と同じぐらい厳しいという意味で、お笑いの世界が印象に残った。おそらく、出演した方たちのなかでは一番収入も厳しい、とても辛いと思うが、それでもがんばっているという姿に感心した。私は、大学生のときにNHKのアルバイトとして松山市営球場でお茶くみをしていたことがあるが、その頃まだ強くはなかった宇和島東高校の野球部の選手が、私にまで頭を下げて挨拶をしていた。ここの監督の教育は大したものだと思っていたが、案の定というか、その後チームは強くなっていった。上甲監督が「人間作り」とおっしゃっているのも決して口先だけで言っているわけではないと思う。ただ、松山商業の澤田監督とお二人で出られると「やっぱりこのお二人だ」ということになると思う。先日、指導者賞を受賞された方なども居られることだし、そういう人のお話をうかがうのも面白いのではないかと思う。全体として爽やかだったのですが、EAT東京支社の矢野さんの上司の方が「アー、お前は……でええんやが」と言われていたのがちょっと水を差した感じがした。

・長島三奈さんの起用については、賛否両論あるようだが、私は、彼女が出演することで番組に風格が備わったと受け止めている。彼女は長島茂雄さんの娘さんであるというようなことを離れて、華のある方だと思うが、「熱闘甲子園」のキャスターその他の活動を通じて高校野球に深く関わり、高校球児から慕われている。キャプテンのインタビューでよく判ったのは、高校生の男の子が綺麗なお姉さんにインタビューされて緊張しないわけがなく、本当ならアワアワ言いそうなところだが、話しかけ方が実にうまい、この年頃の子の心理を良く解っているという感じがする。これは話術とかいうものではなく、眼差し、一つ一つの言葉にきちんとうなずく、大きなリアクションで笑ってあげるなど思いやりだと思う。番組のなかで矢野さんのところで、熊本朝日の人が「ああ、あの矢野か」と言ったというところは、熊本の人の気持ちがよく出ていて面白かったと思うが、彼ほど劇的な体験をした人も珍しく、他にも彼が仕事をしていくうえではいろいろ面白いエピソードがあったのではないかと思うので、もう少し聞きたかった。社員ということで遠慮したのかもしれませんが、私はむしろもう少し知りたかった気がする。その他の出演者の人生も興味深く、きちんと企画を立て、お金も掛けて作っていることが感じられた。ただ、とっておきのネタを使ってしまったということは確かだ。

・長島さんの話しているときの正面からのカメラと横からのカメラ、札幌のところで鎌倉投手の様子を横で見ながら「今、…… しています」と小声で話すところのカメラワークが、とても活きていた。あそこはとても新鮮だった。正面だけから撮ると、真剣さが伝わるといえば伝わるのだが、遊びが無さ過ぎる画になりがちだ。ああいうカメラワークをローカル番組でも見せていただきたいものだと思った。

・高校野球というと男性の世界、男性アナウンサーが扱うものというような先入観があるが、長島さんという女性を起用し、ナレーションも林暁代アナウンサーというところは新鮮だったように思う。

・長島さんの過去のいろいろな経験、歩みがあってこその起用であり、これはこれで良かったのではないかと思う。企画自体良かったと思うし、高校球児にとって長島三奈さんというのはあこがれの的なのだろうし、こういうお姉さんと直接眼と眼を合わせて話ができるのはうれしいという気持ちが伝わってきた。高校球児が野球のスペシャリストとして輝いていたこと、今も輝いていること、積んできた苦労が活かされていることを感じた。私は県の教育委員会に、特に芸術や体育の分野ではスペシャリストを教員として採用してはどうかということを提言している。今、信じられないかも知れないが、ピアノの弾けない音楽の先生がたくさん居る。体育でも、口ではいろいろ教えるけれども、実際にやってみせることをしない先生がたくさん居る。番組のなかでは、今治西高出身の先生が川之石高校に赴任しておられたが、こういう先生が居るというのは生徒、学校にとって励みや誇りになっているのではないかと思う。やはり水を差したのは、矢野さんの東京支社の上司との会話のシーンで、あれが偽らざる彼の日常なのかもしれないが、ああいうシーンは長々と取り上げるべきシーンなのか、疑問を感じる。とりあげた人数が6人というのは、ちょうどいい人数だったと思う。私は野球のことはよく解らないが、それでも、高校球児がその後どうなっていくのかということについては、関心を持つ。そういう意味で企画の着眼は良かったと思う。最後に、他の委員からもご指摘があったが、締めの両監督については、例えば、一年生監督と引退する監督の組み合わせでも面白かったのではないかと思う。

・EATならではの番組だと思う。先ほどもご指摘があったが、長島さんについては、昔はドジったり、キャピキャピしたりという感じがあったが、確かに風格が出てきたように思う。やはり、現場を廻って取材し、経験を積んできたことが滲み出てきているのではないかと思う。野球をよく知っており、よく勉強しているなと感じる。また、OAのタイミングも良かった。こういう番組を見て、高校野球を見ると、ただ「見る」ということではなく、球児の未来、今後の人生に想いを馳せながら見ることができる。一時間番組に元球児6人と監督2人というのは欲張りすぎだと思う。もうすこし、絞って掘り下げて取材をするなり、インタビューをするなりする方が良かったと思う。特にお笑いの「牛若丸」のところは、もう少し何かあるのかと思っていたら、直ぐに次のレスキュー隊員の話題に移ってしまった。3~4人に絞ればよかったと思う。最後の監督2人は予想通りだった。しかし、それはそれでも良かったかも知れない。やはり愛媛を代表する監督であり、愛媛以外のところでこの番組が放送されるときにも形になると思う。

・私も長島三奈さんは良かったと思う。明るく、落ち着いていて、でしゃばらない。あくまでも主役は彼女ではない。主役は、あくまでも元球児だ。キャスターはその引き立て役に過ぎない。そういう役どころをちゃんと心得ていたという点で彼女の起用は良かったと思う。タイトルの「青空のあした」は、少し甘いけれども、馴染み易くイメージも良い。しかし、先ほど申し上げたことからすると、なぜ頭に「長島三奈が見た」という言葉が付くのか。見ているのは、長島三奈一人が見ているのではない、愛媛の人みんな、球児の周りのみんなが見ているのだと思う。だから、「長島三奈が見た」という言葉は要らない。「元球児が追う青空のあした」とか「一女性ファンが見た青空のあした」とかいう言葉でも良かった。せっかく、長島三奈さんを起用しているのだからという気持ちがあるのかもしれないが、例えば、田原総一朗さんにしても久米宏さんにしても、「田原総一朗が見た」とか「久米宏が見た」とかいうタイトルの番組はないと思う。確かに、矢野の返球のシーンはやはり何度見ても良いと思う。ただ、ちょっと宣伝がきつい。あまり言わないほうがいいように思う。

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