番組審議会

第119回 放送番組審議会議事録

1. 開催日時:平成19年1月25日(木) 午後4時
2. 課題番組:「疾走 愛媛FC2006~Jリーグ1年目を振り返る~」
          制作:eat  12月29日(金)16時00分~16時30分(30分)放送
3. 記事の概要:
・まず、年末に課題番組とその翌日の松山商・沢田監督の栄光を描く番組を続けてみて、地元に根ざそうというテレビ局の姿勢がうかがえて、大変、よかったと思う。とりわけ、愛媛FCについてはリーグ1年目で、各方面から注目されていることにくわえ、各種のイベント会場などで選手たちが盛んにファンサービスする姿をみるにつけ、応援してあげたくなる。
そこで、肝心の番組だが、愛媛FCの1年はどうだったのか、今年はどうなっていくのか、ということを期待させるタイトルだった。豊富な試合とインタビューに関する映像は30分番組のコンテンツとしては十分だったと思う。構成も、今年の目標を望月監督の「スピードのレベルアップ」という言葉で切り出し、その成長ぶりを他のチーム監督に語らせるところはわかりやすく、「裏方」のチームドクターなどにもスポットを当てるところなどは、工夫も見られてよかった。ただ、あえて難をいえば、シーズンの目標は語られていたが、ではどうだったのかの総括があいまいで、選手の入れ替えの理由がわかりにくいということだ。たまたまであるが、望月監督は私もよく行くお店で昨年末「今年はだめだった。3年目は首がかかる」という内容のことをつぶやいていた。番組最後のナレーションが「来年はどんな飛躍につながるのか」と言っているが、まさにそこにつながる話を聞きたいと思っていた私は、消化不良だった。 また、あまりサッカーに詳しくない私でも「へえー」という驚きはあまり感じなかった。それは「走るサッカー」「豊富な練習量」という表現の具体的な練習の中身がなかったからかなと思う。たとえば、高校野球でいえば、和歌山智弁が強くなるために500~を100本、100~を時間制限100本というスパルタで体力一のチームをつくるという話を高嶋監督に聞いたことがある。FCの場合でも日々の練習の中にある厳しさが取材できていたら良かったのではないか。こうしたことに備え、試合を取材するだけでなく、企画をにらんだ日ごろのストック、補強取材をしておくことが大切なのではないか。私たちは、ある人物の栄光を描く場合でも、失敗や涙、反省のデータを盛り込むように言われる。なぜか。ものごとはきれいごとじゃないなあ、と思わせることで、共感していただく、プロの工夫だからだと思っている。

・丹念に作られている番組だと思う。およそスポーツは生で見るべきものであり、それを後から見るということはどういうことかということになる。そうなると、番組の価値は、新しい情報がどれだけあるか、ドラマチックな構成になっているか、市民の盛り上がりが伝わってくるかということになる。作り方としては、他チームの監督に語らせるなど一工夫あるが、録画であってももう少し生の雰囲気が出せないか、また、ナレーションは端正だが、この番組の性格を決定している。ナレーションは浮いてはいけないが、スポーツを取り扱ったものとしては、もう少し盛り上げる感じがあってよい。また、自分も愛媛FCとともに戦っているのだというような雰囲気を出せると良かったのではないかと思う。綺麗に見せすぎた感がある。そのせいで熱気が伝わりにくくなってしまったと思う。よくまとまった番組ではあるが、プラスアルファの魅力、意外な情報などがあれば、視聴者を釘付けにしたのではないかと思う。殻を破る感じが欲しいところだ。

・私はサッカーには詳しくないが、この番組を見て少し分ってきた。技術や練習などスポーツそのものの話題が中心となることは当然だが、広島から来た人が愛媛の練習環境の劣悪さに驚いたというようなコメントなどは、正直で貴重だと思う。番組の趣旨からして致し方ないのかも知れないが、スポーツの発展、興隆のためには、やはり選手の名前が知られ、選手個人がクローズアップされる必要がある。チームの経営者やオーナーの名前が出ても仕方ないと思う。もう少し個々の選手をクローズアップして、親近感を醸し出していけば、少しずつファンが増えていくのではないかと思う。来シーズンに向けて、愛媛FCでは大幅に選手が入れ替わるようだが、勝つために選手を他所から連れてくるというのはプロのチームとしては当然のことであるから、その辺りももっと正直に伝えるべきだと思う。また、J1で出番のなかった選手がJ2に来て活躍し、チームも勝つというのも悪くない。また、出身県にこだわる必要もないと思う。ジャーナリズムという点からは、愛媛FCには、愛媛県や松山市も出資、すなわち税金の投入をしているので、この番組内でなければいけないというわけではないが、1年間でどのくらい集客し、収入があり、支出があったかというようなところも明らかにするべきだ。赤字なら赤字で協力を呼びかけるきっかけにもなる。また、選手の生活水準も気になる。

・裏番組にNHKの天皇杯サッカーがかぶっていて、編成的にどうかなとは思うが、本当の愛媛FCなら、こちらの番組を見ると思うので、この番組の視聴率は、愛媛FCファンの率ではないかと思う。愛媛FCの振り返りは、他局でもしていたが、一番真面目な感じがする。私もサッカーのことは、あまり知らない。スポーツを見るときには、やはり選手の顔が浮かぶようにならないと、感情移入ができにくいというところがあるので、そういう配慮は必要だと思う。この番組をみて愛媛FCが一年間頑張り、進化してきたのだということはよく分かった。特に高萩選手の「強いからハードがしっかりする。ハードがしっかりするから強い」という言葉は印象に残ったし、プロにとって勝つということの大切さも伝わってきた。ハード面でみんなの協力を得られるようになっていけばいいなと思う。プレーの場面では要所でスローモーションを効果的に利用しており、また選手の動きの解説もよく分かった。全体として真面目で、冷静に淡々と語っており、良い印象を受けた。

・この番組は、現状報告なのか、FCを鼓舞する番組なのかはっきりしない、厳しい言い方をすれば華のない番組だと思う。プロスポーツにはドラマがあるし、チャーミングな人もいる。ですから、脚色は禁物だし必要もないのだが、一人一人の選手の汗や表情を一つ一つじっくり見せるような映像的工夫があれば、もっとドラマに満ちた番組になったと思う。選手は真摯そのもので、荒削りではあるが、一つのことを極めようとしている様子が分る。プロとして生き残るという一縷の望みに賭けていく、そういう汗とパワーを感じるようなカメラワークが欲しかったと思う。また、仕上がりもナレーションと音楽がアンバランス、テンポ合わず画面が流れすぎて、何を表現したいのか分らないところもあった。また、不用意な解説でぶち壊しになっているところもあった。また、BGMの選曲も今一つで、トーンも単調だった。しかし、このような番組を通じて、愛媛FCに関心を持ち、選手に注目してもらうことは非常に大切だと思う。さりとて、「い~トラ」のようにマニアックである必要はないと思うが。今後の市脇さんの活躍に期待したい。

・私はスポーツ全般に詳しくないので分らないことだらけなのだが、税金を投入して愛媛FCができたということは、サッカーが好きな人にはいいことだが、そうでない人にとってはどうなのか。一方で、地方自治体は財政状態が悪化していて、福祉や教育の予算がどんどん削られている。サッカーで食べていくのは大変というのは確かだろうが、好きなことで苦労するのは当たり前だろう、なぜこのようなことに税金を投入するのかという人もいると思う。そうであればこそ、このような番組を作るのであれば、もっと愛媛FCへ愛を注ぎ、もっと素晴らしさをアピールし、応援をしてあげるべきだと思う。サッカーに興味がない人ですら楽しめるような、サッカーの素晴らしさを伝えるメッセージ性の強い番組にすればよかったと思う。また、私は市脇アナウンサーのファンだが、市脇アナのナレーションが冷静というよりは、やや棒読みのような感じになり、臨場感、躍動感がなかったように思う。また、画面についてはカメラが動きすぎて眼が疲れ、少し気分が悪くなったところもあった。BGMについては、オープニングのところで冷静なナレーションに大音量の音楽がついていて、コメントが聞きづらかった。好みの問題もあるとは思うが、全体的に選曲に難があったと思う。全体として、もっと愛を強く表現して、応援して欲しいという訴えをすべきだということ、そして、スポーツを取り扱った番組としては、選手の顔をもっと出すべきだと思う。選手一人一人のいい表情、いいコメントを丁寧に集めるべきだと思う。

・このような番組を作ってもらえるのは関係者にとってはうれしいことだ。ただ番組としては軸が分りにくかったかもしれない。まあ、愛媛で初めてのプロサッカーチームの最初の年なので、手探りで番組作りをしたのだと思う。来年も同じような番組を作るのであれば、もう少し控えの選手にも眼を向けて、グラウンドの外での感動を伝えられるような番組になればいいと思う。先ほどから税金の投入ということでお話が出ているが、少し誤解もあろうかと思う。愛媛FCは補助金はもらっておらず、出資を受けているが、出資されたお金は将来設備など形に残り、市民も使えるようなものに使うためにとっておこうということで、全く手付かずである。お金をかければ良い選手が来ることは間違いないが、今は、選手を育てて地元に根付かせることを目標としているようだ。また、JFL時代から通じて、選手には社会人としての教育もしており、身だしなみのことまで教育している。番組の内容が、人間教育、社会人教育にまで及んでいたら、また違った印象の番組になったと思う。何よりも、やはりマスコミの力というのは非常に大きななので、マスコミからチームを育てるという心で取材をしてもらうと関係者は喜ぶであろう。

・この番組はスポーツ番組なのか、もう少し幅広く愛媛FCと市民との結びつきをテーマとしてものなのか、判然としない。前半は、スポーツ番組の要素が強く、愛媛FCが格上のチームに勝つなど面白い場面があったが、市民との結びつきという点から言えば、愛媛県民とチームの結びつきは強いとはいえない。少なくとも番組からは強い結びつきを感じなかった。愛媛県の財界も冷たい感じがする。番組作りのための材料が不足しているということはあると思うが、愛媛FCを強くしたいというのであれば、もっと市民の中から愛媛FCのために尽くしている人を前面に出すべきだ。そういう意味では、スポーツニュース用のテープを再編集しているだけのようにも見える。もっと市民が「私も応援したい、協力したい」と思うようになるような番組にすべきだ。そのためには十二分に材料を準備するための日々の積み重ねが必要だ。番組を作るときは、もうすこし真面目に時間を掛けて作って欲しい。豊富な材料から厳選されたものを集めてこそ良い番組ができると思う。

ページの先頭へ

Get Adobe Reader
PDFマークがついてるコンテンツはAdobe Acrobat Reader4.0以上が必要です
Get Adobe FlashPlayer
このサイトをご覧になるためにはAdobe Flash Player7以上が必要です