番組審議会

第135回放送番組審議会議事録

1.開催日時:平成20年7月25日(金)午後3時
2.課題番組:明日の主役たちへ」
          7月10日(木) 10時30分~11時55分(85分)
3.議事の概要:
・本日の課題番組「明日の主役たちへ」は来年のプログレス賞に出せば、非常に良い評価が出るくらい素晴らしい、質の高い、内容の濃い番組であったのではないかと思います。地元出身のアーティストが、国内のみならず海外で活躍していることは我々地元の者としても非常に喜ばしいことです。また、その姿をeatが色々な形で、特に番組を通して全国に発信をしていくうえで茂本ヒデキチ氏は、まさに愛媛から発信するに相応しい人物であり、アーティストであり、また愛媛から発信するに相応しい番組であると思いました。今回の番組は非常に私自身も高い評価をしたいと思いました。

・まず番組タイトル「明日の主役たちへ」が素敵であり、この番組を見るのが非常に楽しみに思える魅力的なタイトルだと思いました。アーティスト茂本氏が松山出身の方ということですが、私はこの方を知らなかったので、こういう方がいるのだということで非常に興味深く見ました。テーマはいくつかあったかと思いますが、アートとスポーツを組み合わせるということは、現代的であり、中国の映像もあり、今どきという感じで楽しく見られました。ライブでペインティングをしていき、どんどん絵が出来ていく様を見られるというのは、テレビ的で良かったと思いました。左右逆であるのは、裏から撮っているので、テレビで撮っていること自体が一つのアートであり、企画者、茂本氏がある程度の時間をかけ、打ち合わせをして番組を作ったということでしたが、その辺は少し伝わりにくかったのではないかと思いました。打ち合わせの時からずっと追っていき、この番組を作るに当ってそれがアートであるならば、どういう苦労をしたのか、どういう工夫をしたのか、セットであり、照明であり、おそらく何回か失敗があったのではないかと思うのですが、そういう失敗のところも映すことで、大変なところで作られた作品なのだなということが伝わってくると思います。また、かなり長時間の番組でしたが、もう少し作者の方の頭の中、思考を出すと面白かったのではないかと思います。最後の方に「明日の主役たちへ」ということで、若い人達に向けて「好きなことを早く見つけてやっていきましょう」というメッセージは、茂本氏の頭の中のメッセージで、良かったと思います。彼の若い頃、絵が上手でイラストの仕事はかなりきたが、結局沢山描いているうちに虚しくなり、自分の個性を見つけるのに苦労したという場面がありましたが、彼の思考、頭の中がアピールされていたと思います。ですがそれは過去の話ですので、現在、彼は何を一番テーマにやっているのか、何を一番苦労しているのか、何と戦っているのかというところがあれば、もっと面白かったのではないかと思います。

・すごく良い番組だと思います。タネも仕掛けもない手品を見せられたような気がしました。番組全体全て良かったのですが、一つか二つ足りないものがありました。まず、彼は、描き方の手法、技法をどういうことで生み出したのか、知りたかったです。とんでもないきっかけがあったかと思います。もう一つは、並べてライブでやっていますが、全体の構成が立体的に頭の中に入っているに違いないと思いますが、その頭の思考の方法を知りたいと思いました。こういうことをやってのける茂本ヒデキチという人物は、並外れたアーティストだと思います。茂本氏は秘密を出さないのかもしれませんし、また芸術家は秘密を出さないと思いますが、それに肉薄し、そのベールを剥がしとるというのも番組の非常に重要なモチベーションだと思います。それがないと、見終わってすごいな、たいしたものだなと思いますが、そのように桁違いな人が偶然出てくるのかな?という結論になってしまい、「明日の主役たち」に私たちはなりえません。イチローが人知れずところで何千回も素振りをやり、どんな球でも打てるようになっています。茂本氏は、目を閉じていてもこの絵が描けると思います。どこかに何かすごいものを持っている人だと思います。普通の方のように話していますが、もっと偏屈な方が私は見ていて良かったです。非常に人の良い円満な方でがっかりしました。実は、一般の人が芸術家に期待しているものは、偏屈さです。これは予想を裏切ったという点で面白いと思います。普通の人がこんなすごいことをやるのだというところが非常に面白いです。この番組はやはり素材がすごく、満遍なく取材しているということです。また、全体的に温かいものを感じました。そういう良さがありました。私が物足りないと言ったのは、個人的なことで、新しいものを生み出すときには、何か秘密があるのではと思います。私が思うに、彼は病院で筋肉の全体像を描く仕事をしていたのではないでしょうか?それが最初のきっかけだったと思います。それでうまくいき、これをアートにしようと思ったのではないでしょうか?

・非常に平凡な方ですが、よく考えてみると、芸術家は本当にトップレベルですが、案外平凡な方が多いのではという気もしました。世の中に出て成長していくプロセスの間に、オーラが出るような芸術家が多いのですが、あるレベルまでいくと、平凡な方に見えることが沢山あるような気がします。教えられてもこういう絵は描けないと思います。最初の一筆目で、キャッチャーの後ろのプロテクターの線から書き始めるというところが、どういう風な書き方をするのかなと興味深く、出来上がるごとに非常に驚きを感じるのは私だけではないと思います。

・次回の課題番組「明日の主役たちへ」といただいた時、高校野球前日の放送日であり、私は高校生メインの番組だという先入観がありました。そう思って一回を見、二回目を見た時に、高校生との絡みを意識して、「明日の主役たちへ」なのだなと思いました。ですが企画書を見せていただくと、茂本氏の世界と挑戦と高校生へのエールとあり、「明日の主役たちへ」というテーマにするのなら、もう少し高校生とのやり取りが見えた方が良かったと、タイトルに関しては少し思いました。すごくお洒落なタイトルでかっこ良いのですが、ワックッションありすぎかなという気がしました。茂本氏の絵は前のデジタル特別番組の時に見せていただいた映像も使われており、懐かしいと思いました。米倉氏、久保田利伸氏の顔を描いている時に線がない部分にも線が見えてきました。足を描いた時に、「人間の足に黒い線があるかね。」と母に言われたことがあり、小さい頃から絵が苦手だったので、茂本氏の絵はすばらしいなと思いました。線がないところにも線が見えてくるという不思議な力に、続きが見えてくる躍動感を感じ、表現力はすごいなと思いました。また、BGMが良かったです。ジャズの雰囲気、ピアノの曲など、コメントを聞かずにピアノの音ばかり聞いていました。選曲が良いと思いました。加えて、高校生を描く絵と、アスリートを描く絵とは筋肉のつき方の表現が全然違うと思います。キャッチャーの男の子を前にしても、後姿ですが、ゴツゴツしたアスリートの筋肉のつき方と違うのが印象で分かり、その辺りはすごい観察力を持った方だと番組を見ながら伝わってきました。映像もきれいで良かったのです。編集の仕方、構成がお洒落で、見ていてすっきりした感じで、親しみやすいと感じました。視聴率が低いことがもったいないです。時間帯が時代劇、料理番組を好む方しかいないのかもしれません。本日愛媛大会が終わったばかりですので、早めに再放送で見ていただけると、「僕たちのメダルはこの人が作ったのだ」と高校生も思えると思います。

・番組内でアスリート、野球選手だけではなく、寺も躍動感、存在感がありました。委員がおっしゃたように、目を閉じても描けるのではないでしょうか?今度ぜひ目隠しをしてやってみてください。

・番組を点けたまま、仕事をしながら視聴していました。その時は、中央の方で作ったのかなと思いました。すごく良いと思って見ました。最後に松山で作られたのだと分かり、素晴らしい方がいらっしゃるのだと思いました。素晴らしい番組を作られたと思いました。そういうこともあり、もう一度見ようと思い、2回も見ました。見ているとその人の人生が良く分かり、学生たちの喜びも分かり、自分が高校生になったような感じがし嬉しくなりました。一番感心したことは、下書きがなく、すらすらと描かれ、5分間で描き上げるという言葉が出てきたので、神様みたいな人だなと思いました。神業で仕事をしているのか、仙人みたいな人でこのようなことをやるのか、それともこの為に生まれてきた人なのかと思い感心していました。最後のところで貴乃花が「宗教が絡んでいるのではないか」という話をしていましたが、普通の人ではないと思いました。絵の先生に、なぜ絵を楽しんで描かれるのか、写真とどう違うのかと訊ねると、写真では追いかけられない絵がある、絵というものは写真には出ないものが出てくるという話を聞きました。フランス語の先生で、世界を周られスケッチをしている方にも、なぜか?と訊ねると、写真で撮ると思い出せないが、自分がスケッチをすると光景、風景が思い出せるので、スケッチブックを持って世界を歩くと言われていました。その話を思い出しました。この絵を見ていると、やはり写真では写せない部分が、動きが次々と出てくるように感じました。ボールを投げ、手が下に下がる、上がるということが想像でき、素晴らしい人が愛媛にいるのだと感心しました。墨ですが、薄い色と濃い色の2色で描かれていると思いますが、それでいてあれだけのものが出せるというのは、素晴らしい人だと思いました。

・愛媛県は正岡子規から始まり、文人がよく出ます。作家、画家など文科系といいますか、その伝統を守るような方がまた出てきて非常に心強く嬉しく思います。茂本氏はまだ51歳くらいでしょうか?芸術家は長生きしますので、これからだと思います。まだまだこれからもっと有名に、もっと世界に羽ばたいていただきたいと思います。愛媛県から次を担う方が出てきたことが心強く、それを番組で取り上げた企画は素晴らしいと感じました。貴乃花、久保田利伸などビッグネームの方が出演されていましたが、一番感動した場面が、松山北高校の野球部の生徒と茂本氏の対話場面です。特に茂本氏が生徒の眼差しに圧倒されたと言われていましたが、芸術家の方が圧倒されたというのは本当だと思います。野球をしている高校生が必死になり好きなことに打ち込み、監督が茂本氏を紹介し、生徒がどんなことを言うのだろうかと必死の眼差しで一言一句を聞こうとしていました。普段の授業で有名な先輩を紹介しても、あれほどの目つきはしないと思います。野球の練習上だからこそ、あのような眼差しがあり、またそれを茂本氏が作品に生かすというような相乗効果があったと思います。写真では分かりませんが、絵は姿を描写しているが響くものがあるということを感じさせる良い番組でした。私も久しぶりに文化とは何かということまで思い出しました。例えば食文化という言葉があります。よく考えてみると、とてもおいしいものを食べておいしいと感動する、これが食文化ではないかと思います。絵を見て感動する、癒される、心を動かされる、古い、新しいがなく、古い伝統も大事ですが、これも現代我々が生きている人間が感動したり、衝撃を受けたり、心を動かされて初めて文化といえるのであり、古ければ良いというものでもありません。新しいものであっても、心動かされるものは文化だと思います。そういう点で正に今の新しいこの高校野球を題材にした水墨画は文化を感じました。今後さらに茂本氏は素晴らしい作品を生んでいくことを大いに期待したいと思います。良い番組でした。

・構成がすごく素晴らしいのはもちろんですが、茂本氏の人間性、人柄、芸術性がここまでよく引っ張り出されたなと思います。それはやはりスタッフの方の熱意だと思います。強い熱意が感じられたから茂本氏はそれに答えなければという、キャッチボールが見えてきました。ぐっと感動するような作品でした。久保田利伸氏等、現在活躍されている現役の方が出演されるのは絶対に必要だと思います。また音楽が好き、野球が好きという関連性があります。私は、高校生の野球練習の瞬間と、会話、対話が一番光っていないといけない部分だと思いますし、もちろん光っていたと思います。子供達が純粋で輝いている表現と、芸術に対して輝いて純粋な気持ちを持っている茂本氏との場面は、ぐっときました。改善点は?と言われると何も言えないというのがこの番組ではないかと思いました。BGMがあつかましくなく、邪魔していません。時々意見として述べていましたが、音楽ばかりが耳に入り、目が入らず耳だけが冴えてくることが今まで時々ありました。今回は全くそのようなことがなく、心地よい雰囲気で耳が音楽に向き、本当に良かったと思います。全てが素晴らしいの一言です。ナレーションももちろん良かったです。もう少しトーンが明るくても良かったかなという部分が部分的にありましたが、良かったです。

・今回の番組は、地上波デジタルの開始に合わせてeatが制作した番組の延長にあることで、ある種、追跡取材のような手法になっていて見応えがありました。2つの意義があります。eatが地域に密着した放送局として、高校球児の祭典を盛り上げるため、地域の成長株である茂本氏にスポットをあてたこと。過去の活動、北京5輪に合わせた現地取材、高校生との対面など、材料も豊富。手を抜いていない作品でありました。もうひとつ。茂本さんにとっても地域貢献ができ、本格作家になるための布石になったのではないかということ。今回の番組で作られた作品が記念のメダルや裏方で頑張る生徒たちのスタッフシャツのデザインに採用された。また、原画は松山の今後、財産になっていくことでしょう。高校生のがんばりが野球王国・愛媛の歴史をさらに積み上げ、その発展に地域に根ざした放送局がある。同時に、作家が成長していく過程で、地域の放送スタッフの熱意が咬み合わさることで虚像ではない地域に足場をおいた芸術構築となっていく。なんと、素敵なことではありませんか。最後に、茂本氏の筆使いが深く印象に残り、私にとっても好きな作家の一人になったことにお礼を申し上げたいと思います。時間無く、あまり整理された評論とはいえませんが、制作スタッフの今後のご活躍も祈念します。

・全般的に素晴らしい評価で、ひさびさのヒット作品だと思います。来年のプログレス賞の最優秀賞を狙っていただければと思います。

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