番組審議会

第188回放送番組審議会議事録

開催日時:平成25年11月25日(月)午後3時

課題番組:中四国ブロックネット特別番組 谷原章介が迫る 「秀吉が愛した武将茶人~上田宗箇流400年のウツクシキ~」 

・今映画で「利休にたずねよ」が封切りされていて、武人と茶人の関係が今注目されています。縮景園は何度かお伺いしましたが、上田宗箇が造ったとは知りませんでした。この番組を見て知りました。私も日常に使っている車が上田宗箇流だと知って驚きました。理由は、私はロードスターに乗っていまして、この車の設計にあたり、あの茶室を見て室内デザインをしたと聞いたからです。本当でしょうか。確かにあの車はフロントからみると、能の「小面」を思わせます。あの番組を見て普段使っているものに、ますます愛着が持てました。

・約1時間、あっという間に見せていただきました。武将と茶人をどのように捉えていくのか興味を持ちました。「ウツクシキ」の題材をどんな形で作り上げるのかと考えましたが、実際の映像はとても美しい映像構成で楽しむことができました。上田宗箇と言う人物はとても面白く素敵な方です。その人を探し番組にしたことは成功だと思います。茶道と武将の組み合わせはとても難しい題材だと感じましたが、そこに面白味を感じました。また、ロケ地もたくさんあり番組を飽きずに見続けることができました。東京のダンサー仲間であったり、お菓子屋さんの「風雅堂」であったり、番組周辺情報もきちんと挿入されていて、広島訪問時の糧になりました。庭園にしても、小学校にしても長期ロケが伺える内容でした。私はこの上田流を存じ上げませんでしたが興味深く視聴しました。この若宗匠が新しく行っている茶室についても興味深く見せていただきました。山の上の野点の撮影は大変だったでしょう。伝統やおもてなしの心を組み立てて伝えようとした、素晴らしい番組だと感じながら視聴しました。

・第一印象は茶の湯が題材で清らかなイメージや真面目な感じがありました。手間暇かけた作品です。登場人物が番組の構成に大きな影響を及ぼしている印象が強かったです。主人公の、家元と若宗匠の二人が個性的でした。それ以外に、オーストラリアの人を絡めて番組に膨らみを持たせ、非常にメッセージ性のあるものを人物の語りを通して伝えようとしているのであろうと感じました。特に若宗匠は、私には無い感性の持ち主だと判りました。例えば、ダンスと茶の共通点など自分には無い感性をお持ちだと思いました。彼を異端児として取り上げていましたが、奇をてらわずに新しいことに取り組んでいることが言葉の端々から伝わってきました。ナビゲーターの谷原章介さんはこのテーマに沿っている人材でした。また、舞台は広島なので、若宗匠の天命の言葉や家元の受止めの言葉から広島の歴史に繋げ、さりげなく原爆を絡めてそこで生きる人の思いを番組で伝えようとしていると感じました。しかし、ともすれば清らかで真面目な番組なので、このような事に興味の薄い人達にはどのように捉えられたのだろうと思いました。

・私は広島に長く住みましたので、上田宗箇流家元や若宗匠のことは何となく知っていました。ただこのように系統だって知識を紐解いてもらい再認識できたのはよかったです。内容として茶の湯を扱っているので、イメージとしてどのように上田宗箇流について深める番組を見せていただけるのかという点に重点を置き視聴しました。いろんな角度から深めていっているので考えた構成になっていると感じました。平和都市広島なので8・6のお茶会を開催して、そこでは家元として平和の役割を認識していると思いました。番組の最初に、上田宗箇が求めていたものは泰平であったし、平和を求めていたとコメントがありました。これを受けて番組的にきちんと「おち」の着いたまとまりがある番組だと感心しました。あと印象に残りましたのは、最後に三人が揃い地元としての考えを谷原さんが質問し、それに家元父子が答えたのを聞けたことが興味深かったです。

・良い番組でした。料理に例えれば、材料が良く、料理の仕方が上手ければ良いものになるのです。この番組は材料が非常に良かったです。料理の仕方もチームプレーでしっかりした手法でできていました。ナレーションも番組に良く合っていました。良い番組に必要な物が全部入っていたという気がします。まず、第一に必要なものはメッセージ性です。何を伝えたいかということです。それがはっきりしていました。担当者がその素材に「惚れた」ということが大きな成功の基だと思います。今を生き抜くことが、長い歴史の伝統に繋がりそれが新しい時代へと導かれ、未来への希望を与えられる番組でした。歴史と現代、新と旧、その対立構造をうまく組合せています。若宗匠と家元、別に対立はしていないのですが、対立のように見せたところが「技」だと思いました。茶の湯は、古いものと思われていますが、それは伝統文化の結晶で、そこには宗教観さえ入ってきます。それが対岸の広島に根づき、今になっています。羨ましいことです。また、伝統の重みを今の人は大切にしていないことに気づかされました。家元と若宗匠の語りが、素晴らしかったです。谷原さんは良くできていましたが、家元と若宗匠さんの言葉の重みの前では軽くみえました。彼には気の毒でした。地方の局にこれだけの番組を作るプロデュース力があることに本当に感心しました。

・私はこのようなジャンルの番組は好きです。本当に良い番組でした。上田宗箇流は初めて知りました。「ウツクシキ」という言葉で宗箇流の真髄を表していますが、元来は一番槍で戦場を駆け巡った武人で世俗的な権力の座に着いた人です。しかし、「ウツクシキ」のキーワードから感じられる、「さっぱりして何も残さない」お茶のこころがあればこそ、上田家は16代も続いたと感じました。権力とか財力は簡単に失いますが、文化の力はすごいと感じました。茶の湯は文化です。茶室とか庭とかハード面は目に見えていますが、ソフト面はなかなか難解です。お茶がどういう文化なのだろうかと、具体化するのは難しいですが、ひとつの「ウツクシキ」というキーワードで表しながら、16代続き、しかも若宗匠の次の世代に向かって繋げる姿勢が文化の力を感じました。しかも、スポットを若宗匠に当てたことがよかったです。段ボール茶室もひとつの茶を伝えるツールですが、広島にある上田宗箇流の茶文化を伝えていこうとする番組の構成がよかったです。広島と言うと、いつもテーマは原爆ですが、今回はお茶がテーマで驚かされました。新鮮さも感じました。しかし、きちんと慰霊茶会も実施しているところを出し、原爆のことにも触れてうまく構成された素晴らしい番組でした。お茶の形をとりながら、どうやって日本文化が表現されているか番組の中で掘下げて表現できたらよかったと思いました。全体的にたいへん格調の高い良い番組でした。

・良い番組でした。文化が時代と共に変わってきて、昔の良いものを残しつつ新しいものにチャレンジしながら、そして伝えていくことがよく表されている番組でした。また、外国人の茶の湯の映像が、世界に茶の湯文化を発信している様子を優しく伝えていると感じました。お茶のお菓子屋も出ましたので、和服屋も見せていただけたら訪問してみたい気持ちが起こったと思います。素人目にも番組全体の作りが素晴らしかったです。      また、谷原さんの登場によってこの番組への期待感が膨らみました。最初は谷原さんが主役的な感じでもありましたが、見るうちに宗家、若宗匠への新たな興味が起きました。   番組の中で、禅宗と茶の文化が中国から伝わって来たことを、普段着と他所行きを重ね合わせたような構成で判り易く説明していました。広島のイメージはこの番組を見て変わりました。私の広島のイメージは余り良くありませんでした。しかしこの番組を見てたいへんよくなりました。たいへん素晴らしい広島を見せていただき良かったと思っています。昔この庭を見たことを思い出し、個人的には懐かしかったです。また、愛媛朝日テレビのこの番組への関わり方はどのようなことだったのでしょうか。

・この中四国ブロックネット特番は4局の共同制作ということで、以前は持ち寄り型でしたが、昨年度より1社責任幹事制をとり、主体を1社が取り制作を進める形に変わりました。その中で制作に直接携わる機会は無かったですが、ネタの選定等は4局で揉みあげ、方向性を決定し番組全体のイメージを考えながらキャスティングをしていきました。

・お茶は禅宗を基にして一種の哲学ですが、なかなか難しいテーマです。それをそのまま取り上げると退屈なものになったり静かすぎてしまいますが、広島の地域の中で育った宗箇流の茶道を取り上げた目の付けどころがよかったと思いました。まさか自分の乗っている車が関係深いとは思いませんでした。お話しすることが事実かどうか定かではありませんが、あの私の乗っている車を作るときに、上田の庭に行き茶室を見て車の室内を作り上げたというエピソードがネット上に載っています。しかし、マツダの資料にはありませんでした。物作りの中に、地域で生まれた哲学を生かしていることは素晴らしいし、それを話題として取上げたことはよかったと思います。最初に登場する「美しきもの」は、日本人にとってなかなか表現は難しいです。枕草子の冒頭に美しきものとして子供の話があります。その「美しき」ということを哲学的に考えたのはカントが最初だと思います。彼の「純粋理性批判」は有名ですが、もうひとつ「判断力批判」という本があります。これは美的感覚で美しいものをどのように観賞していくかが書かれた本です。要は観賞力を説いています。これはなかなか面白い話ですが、時間が長くなりますので皆様には読書をお薦めします。しかし、ほんの少し説明させていただきますと、カントの時代はブルジョアジーが出始めて貴族階級よりブルジョア階級が上回ってきた時代です。それは、貴族階級が作った美意識に対して、新しい産業構造を基に富を蓄えた富裕層が新しい観念を作り上げた時代です。他にもさまざまなことを考えさせられ、後を引く良い番組でした。是非続編をお願いします。

・せっかく広島ホームからおいでいただいているので、企画の立ち上がりから制作のエピソードを含めてプロデューサーのお話しをお伺いしたいです。是非お願いします。これはレギュラー番組でほんの少し過去にやったことのある題材でした。それを少し膨らませ制作しました。一番の課題は広島の人間以外に上田宗箇流は知られておらず、制作会議に集まった人達も聞いたことのない人が多かったようです。それをどのようにして見てもらえるものに制作していくかが一番の課題でした。また、お茶は格式が高いのでどうやれば見てもらえるのかが、もうひとつの大きな課題でした。見ている人も素人の人が多いので、素人の目線でいけば判り易い番組になるだろうと思い制作しました。最初は「ウツクシキ」をどのように解釈しようかとミーティングを重ね、ダンスと茶の湯、過去と現在、戦と茶の湯など、動と静の相反するものが融合したことが「ウツクシキ」という言葉で表現され繋がるように番組を制作していきました。また、若宗匠はすごく魅力的な方で彼の人柄が充分に伝わるように作ることができればよいと考えながら半年ぐらい追い続けました。皆様に過分なお言葉をいただき恐縮です。大変だったところは、若宗匠も家元も取材に対してはすごく前向きなのですが、上田家は格式が高く古文書ひとつ出してもらうのもすごく大変でした。また、お庭を少し撮影するにしても庭師に入ってもらい大変な準備をして撮りました。知らない世界の事を充分に勉強させていただき楽しい経験でした。

・谷原さんは、お茶は何かやっていましたか。初めてでした。初めてなら初めてらしい何かが欲しいと思いました。また、谷原さんと広島との関わり合いが良く判らなかったです。上田流がお茶の流派のどの位置にいるのかが判らなかった。何か説明があればより理解が深まったと思います。番組の最後で若宗匠の生きざまが番組意図だと判りましたが、導入部分ではそれがよく理解できませんでした。最初から番組意図を明確に出して作っても良かったのではないでしょうか。上品で良い番組でしたが広島以外では視聴率は振るいませんでした。なので、最初に若宗匠のメッセージ性を出していたら、見に来てもらえたのではないかと思いました。少しもったいなかったです。谷原さんと広島の関わりはお爺さんが広島出身です。しかし、理由があって入れませんでした。

・「茶の湯」の世界は私みたいな不作法な凡人には理解しがたいものでありましたが、この番組のお陰で茶の文化・ルーツが少しだけ判ったような気がしました。番組は全体的にベテランナレータ―のゆったりした語り口に、谷原ナビゲーターが正に適材で16代目家元とのやり取りに上品さが感じられ、また映像的にも綺麗な仕上りになったと思います。しかし、番組の前半部分では、コミック漫画の画面を含め、動画と静止画の切り替えのタイミングが早すぎて少し慌ただしさを感じました。また、多くの情報を紹介して頂いたのは良いのですが、少し詰め込み過ぎて1時間という枠の中ではちょっと消化不良気味であったように思います。私の我ままですが、折角400年の「ウツクシキ」という「茶の湯」「茶の文化」の切り口なのだから、戦国時代の宗箇流のルーツから現代の一風変わった元ダンサー17代目若宗匠の新しいチャレンジまでの400年の流れや、広島という地で紡いできた伝統と文化をもう少しゆったりとした気持で観賞できる構成にして欲しかったように思います。映画「利休にたずねよ」は本当にタイムリーなスポンサーとなりましたね。是非見てみたいです。

 

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