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NEW 2024年07月29日(月 ) 19:07

水の通り道「パイピングホール」を確認 城山の土砂災害【愛媛】

12日に発生した松山城の城山の土砂災害を巡り、学識経験者や県、松山市の担当者らが原因究明や再発防止を協議する「土砂災害対策技術検討委員会」の初会合が29日に開かれ、現地視察などが行われました。

会合で県の担当者は、地中にあった水の通り道、いわゆる「パイピングホール」が確認されたと明らかにしました。
確認されたのは土砂の崩落したエリアで3ヵ所、それ以外のエリアで9ヵ所で、崩落エリアの3ヵ所はいずれも山の中腹でした。
この中腹部分は愛媛大学の研究者が「水が集まりやすい地形で崩落の起点となった可能性がある」と指摘しているエリアです。
会合に出席した委員の1人、鈴木啓介砂防研究室長(国交省国土技術政策総合研究所)は「側方方向から水が集まる地形が現地にあり、土砂崩落には横方向から入った水も影響していると思われる」として、城山に降った雨がパイピングホールを含めてどのように地中を流れたかを調べる必要があるとしました。

また現地の状況について委員である高橋治郎名誉教授(愛媛大学)は「崩落エリアの上部は、保水力の弱い放置林が多いため、木々の根が土を支えきれず、土砂が流れ落ちた」として、木々を適切に管理すべきだったとしました。

そして今回の災害との関連が注目される山頂付近の緊急車両用道路の復旧箇所についても議論が行われました。
市は先月30日から今月1日までの間に道路の大きな亀裂や擁壁の傾きを確認したことから、2日から9日にかけて緊急工事を行っていて、不安定な路面や擁壁は撤去されていました。今回の災害では、現場にかけられたブルーシートのすぐ下から土砂が崩れていました。
こうした工事について委員長を務める森脇亮教授(愛媛大学)は「傾きかけた擁壁を取り除き、そこにシートをかけるなどしていて、水も入り込んでいなかったため処置は適切だった」として、工事そのものが今回の土砂崩れに影響は与えていないとの見解を示しました。
ただ、市が確認した亀裂や傾きは「土砂崩れの“前兆”だった可能性がある」と指摘しました。
また、鈴木委員は、緊急車両道路の建設により水の流れが変わった可能性もあるとして、今後丁寧に調べる必要があるとしました。
委員会は今後4回行われる予定で、原因究明や再発防止策をとりまとめる方針です。