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NEW 2025年12月08日(月 ) 16:40

仕入れ値が2.5倍に… 正月の伝統を支える老舗の思い【愛媛】

物価高が続く中、新年に向けて、これからかきいれ時を迎えるもち店も、厳しい状況に置かれています。伝統の「食」を支え続けてきた老舗の思いは…。

【橋本佳子アナ】
「つきたてのおもちが機械によって形が整えられていきます」

冷たい空気の中、湯気を立てて運ばれていく蒸した米。杵でつかれて、もちになっていきます。

松山市中央卸売市場の中にある創業63年の老舗「もち平」。間もなく正月用のもち作りが始まります。

米の価格が上がる中、仕入れるもち米も高騰が続いていると言います。

値上がりした米に生産がシフトされた結果、もち米の生産量が減り、1キロあたりの仕入れ値は去年から上がり始め、2年前の380円が今年は、ついに1000円に。

【もち平 平井愼司社長】
「(仕入れ値が)一気に2.5倍くらいに上がっているので、急激な変化にすごく困っています。(販売価格に)上乗せさせてもらって、今年の価格を設定しています」

こちらでは、正月用のもちの販売価格を、去年から3割ほど上げざるをえない状況に。

スーパーなどからの発注が減るのではないか…。そんな不安の中、少しでも発注を確保するため、1キロ入りの方が小口よりも割安感が出るような価格設定を考えているほか、おおよその発注量が見えた後に、この時期に手伝ってもらうアルバイトの人数を調整するなどして、経営の負担を少しでも軽くしたいとしています。

ただ、大変な中でも味が変わらないように、もち米の仕入れ先や作り方は変えません。

【もち平 平井愼司社長】
「(お雑煮は)健康であったり、繁栄とかを願って食べるんですよね。だからそういった、明るい年にしたいなという希望を、おもちが担っているわけなんですよ」

「こういう時こそいいものを作っていかないと、お客さんにとって本当のサービスにならないわけですよね。信頼性を高めるということは当然のことやと思っています」