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2025年07月25日(金 ) 17:13

生活保護訴訟勝訴で松山市へ要請【愛媛】

国が生活保護の支給額を段階的に引き下げたことを違法とした最高裁判所の判決を受け、市民団体が25日、松山市に対して、本来受けられたはずの生活保護の差額を、さかのぼって支給することなどを要請しました。

国は2013年から3年にわたり、物価の下落を反映するなどとして、生活保護の支給額を段階的に引き下げていましたが、最高裁は6月下旬に、これを違法とする判決を出しています。

松山地裁でも市内の受給者が同様の訴訟を争っていましたが、2月に国の対応は違法とする判決を地裁が出しました。
25日には松山の訴訟の原告や支援者らが松山市役所を訪れ、市に対して、引き下げ前との差額をさかのぼって支給することや、市独自の支援策の実施などを要請しました。

生活保護の利用者には高齢者や障害者らが多く、松山地裁の原告42人のうち12人が亡くなっています。
この日、原告の一人は松山市に対して、「この裁判は10年以上たっている。
(亡くなった人たちに)少しでも良い報告ができるようにしたい」と訴えました。

原告側の菅陽一弁護士は市に対して、「違法な引き下げで、生活保護の利用者が本来は受けられたはずの保護費をさかのぼって支給することは松山市の義務だ。
支給されないままだと、基準引き下げの違法性は残ったままで放置は許されない」として、早期に被害回復に動くように求めました。

また支援者が、最高裁の判決後に伊賀市の市長が「判決は憲法25条に基づく生存権の保障を肯定し、行政府による恣意的な基準変更に歯止めをかけた点で極めて重要な意義がある」と語ったことを紹介。

さらに、物価高などを受けて山梨県が生活保護受給世帯の生活実態調査を行い、5月に公表したうえで、支援策を検討しているとして、松山市でも同様の調査や独自支援を行うよう求めました。

これに対して松山市側は「受け取った要請書は市長に報告する。要請の内容は説明を受けて理解したが、松山市としては今後の国の方針に基づいて適切に対応していきたい」と答えました。