愛媛のニュース

NEW 2025年10月31日(金 ) 18:35

愛媛県内唯一の砥部焼陶石を生産会社が受注停止

砥部焼の原料となる陶石を唯一生産していた砥部町の会社が、後継者不足から、10月いっぱいで陶石の生産を終了することがわかりました。
【伊予鉱業所・入舟訓三会長】
「人手不足がやっぱり響いてはおりますね。
人手不足でなかったら次の者も育っていたかもしれない」
「(後継が育っていれば)続けられたかもしれない」
陶石の生産を終了するのは、砥部町の伊予鉱業所です。
砥部町では後継者不足などで陶石の採掘業者が次々と廃業し、15年ほど前からは、唯一残った伊予鉱業所が1社で、砥部焼全体への陶石の供給を担っていました。
陶石は、細かく砂に砕いて粘土などを混ぜることで坏土と呼ばれる砥部焼を作る土になります。
伊予鉱業所によりますと、事業の運営を主に担当していた社長の病気などで、陶石の採掘事業の継続が困難になり、他に後継者もいなかったことから10月16日、砥部焼協同組合に対し、10月いっぱいで陶石の受注を停止すると伝えました。
【伊予鉱業所・入舟訓三会長】
「僕らが(採掘事業から)手を引いて認可が飛んでしまうんならいかんけん、組合に引き継いでやったらどうかと言って投げたけど、組合も寝耳に水で『ええ』って」
伊予鉱業所によると、陶石の発掘には県の認可が必要で、認可取得のハードルも極めて高いことから、金銭面での折り合いがつけば、会社を砥部焼協同組合に引き継いでもらいたい考えです。
砥部町では、あすから秋の砥部焼まつりが始まります。
準備に追われる砥部焼協同組合は。
【砥部焼協同組合・松田啓司理事長】
「突然の報告ではあったので、正直びっくりしているというのが正直な気持ちです」
組合では今後、採掘場を誰がどう引き継ぐかなど、陶石の安定確保に向け、11月中旬に窯元らと話し合いたいとしています。
また、陶石は約半年の使用分にあたる、30トンの在庫があるとしていて、陶石を混ぜる割合を減らすなどした新しい土を開発し、窯元への土の提供を続けたい考えです。
【砥部焼協同組合・松田啓司理事長】
「伝統工芸っていうのはどこも(原料確保の)不安を抱えながらやっているのも事実だとは思いますなのでリスクマネジメントができていなかったと言われるとその通りなのかもしれないですけどそうしながらでもどうにか前に向いて進むしかないと思うので根本的な解決を今回でしていきたい」
伝統的工芸品の砥部焼を未来にどう残していくのか。
窯元たちを含めた模索の日々が始まります。