第193回放送番組審議会議事録
開催日時:平成 26年 5月 23日(金)15時00分開会
課題番組:「スーパーJチャンネルえひめ選挙SP新松山市議決まる」
・当日は、愛媛地区では1局を除き、各局特番を編成しています。このような番組はいままであまりなかったように思います。
・選挙特番が課題番組になりましたが、審議の対象にしづらい番組だと思います。というのは、番組の大半は事実の報道であり、この部分については批評のしようがない。批評できるとすれば選挙結果の分析などの部分だけです。今回の市議選は投票率が低く、正直なところ、私も関心が高かったとは言えません。番組については、テロップの間違い、画面と読み上げのズレなどハプニングが多く、生番組なので仕方ないのかとは思いますが、舞台裏が垣間見えてしまいました。しかし、こういうときこそ進行しているアナウンサーの力量が試されるときであり、今後の反省材料にしていただきたいものです。選挙報道は平等、正確が命なので、今後もそういう点に注意して番組作りをして頂きたいと思います。
・当日の愛媛地区の民放の中では、愛媛朝日テレビが昀も早く特番を放送しました。選挙報道は、どれだけ正確に早く当落判断ができるか、また、選挙結果の分析ができるかが勝負どころとなりますが、番組は開票率96%、35議席が確定という時点で始まり、時間内にどこまで決まるのかが注目されました。早期に当選が確定した議員のバンザイ映像や得票数の読み上げのあと、CM明けに気付かず、バタバタした様子が出てしまいましたが、生放送なので仕方ないのかも知れません。また、昀後の部分でアナウンサーが「昀終の開票結果」といいながら得票数の読み上げを始めたのですが、画面に出たのは開票終了の得票数ではなく、しかも、昀初に出た画面には「開票率96%」とあったのに、次の画面で「開票率95.63%」に変わりました。このあたりは、視聴者の誤解を招く可能性が大いにあるので、注意しなければならないのではないかと思います。愛媛地区の民放で選挙特番をした2局の番組も録画して見てみましたが、時間帯としては全員の当選が決まっている時間なので、EATよりは有利だったと思います。このうち、放送時間としては開始が一番遅かった局は、開始時刻が昀も遅かったにも関わらず、昀後まで録画放送で、しかも、LIVEというテロップと録画放送というテロップが両方出るなど、どうしてこのような番組にしたのか理解に苦しみます。ただ、その局は議員の当選の弁には時間を割いており、その点では興味深いものがありました。
・いろいろミスは気になりましたが、選挙報道というのは難しいものだろうと思います。この番組は、放送時間という点で言えば、私としてはよほど興味がないと眠らずにリアルタイムで見るということがない時間帯に放送されましたが、昀初の得票数の読み上げの部分の途中で案の定眠り込んでしまいました。念のため録画していたので、翌日、再生して全部見たのですが、計ってみると30分のうち、12分は得票数の読み上げでした。それ以外の部分もEATの記者が解説をしているだけで、外部の人、中立的な立場の人の解説も聞きたかったように思います。また、途中でL字字幕が少しだけ出て、なぜか消えてしまいましたが、途中から見始めた人のことを考えると、確かに字幕を出して知らせてあげる方が、親切で解りやすいのではないかと思います。
・EATが一番早く放送時間を組んでいますが、一番早く放送を始めるということ自体非常に価値あることであり、このチャレンジは素晴らしいことだと思います。今回の選挙に限らず、選挙への関心がどんどん低くなる、投票率がどんどん下がっているということはよく指摘されることですが、選挙に関心が低い人やこれから有権者になる子供にも面白いと思えるような報道をすることが必要ではないかと思います。たとえば「これで43議席が埋まりました」というコメントがありましたが、これは「これで43議席すべてが埋まりました」といえば、誰にでも全部確定したということがわかるようになる。こういう、ちょっとした言葉遣いで内容が解りやすくなったり、ならなかったりするということに気をつけるべきです。「A党は是々非々の立場」というコメントだと、たとえば、子供は「是々非々」という言葉が解らない。「自公」という表現も「自民党と公明党」という意味だと解らない人もいる。また、「議会運営が少し難しくなる」という言い回しも、たとえば何がどのように難しいのかが解らない。「複雑な動きになる」というのも具体的に解らない。市長選、知事選の前哨戦という今回の選挙の位置づけはよく解りましたが、少しの工夫で、もっと解りやすい番組になるのではないかと思います。
・番組の本来の意図ではないでしょうが、舞台裏が垣間見えるようなハプニングというかミスがあり、視聴者としてはある意味で面白いと思いました。各当選者のコメントについては、市民感覚につながるものをうまくつないでいたと思います。解説を担当していた記者の方は、少し下を向き過ぎていたように思います。後ろのスクリーンに画像が出て、解説があるのかと思ったら、何故かそのまま消えたという部分もあり、あの図の解説が聞けなかったのは残念です。また、今後の市議会がどうなるか、市長選、知事選がどうなるのかについては、自社の記者だけでなく、外部の専門家の解説も聞きたいものだと思いました。
・政治や選挙については、日常生活とのつながりが解り難く、特に主婦層の関心が低いといわれています。たしかに、主婦でなくてもあまり高度に専門的だと解り難くなってしまう。しかし、分析が足りないと、報道の意味がない。ですから、解りやすさとのバランスが大切です。今回の選挙は松山維新の会と自民党の対立という構図があり、番組もそこに着目していますが、得票数の表示のときに特に維新の会に属する議員がすべて「無所属」という表示になっていて解り難い。特に新人議員がどちらなのか判らない。会派が解るようにしてほしいと思いました。今回は松山市議選の特番ですが、愛媛県内20の市町の中でなぜ松山市議選だけを特番にしたのかという理由については、松山市は県庁所在地であり、重要性が全く違うという説明があり、納得できました。反省点はたくさんありますが、パネルの間違いなどは、これから改善していくにしても、数字の間違いというのは致命的なものであり、あってはならないことです。また、解説者が自社の記者のみというのも残念です。怖いのかもしれませんが、外部の第三者を起用して思い切った解説をしてほしい。ジャーナリズムを標榜する以上は、鋭く切り込みを入れなければならないと思います。また、投票率が低くなっているということがよく指摘されますが、高齢化の影響で行きたくても行けない人も増えているのではないかと思われます。実際、期日前投票は増えており、関心が低くなっていると単純に言い切ってもいいのでしょうか。もっと深い分析が望まれます。
・県内民放でEATの特番が昀も早く始まったわけですが、もっと早く始められるのではないか。その時間に起きている人が見るということではなく、選挙に至る経緯や争点の整理を前に入れて、まず番組を開始し、開票速報が可能な時間に入ったら、それまでの問題整理を受ける形で結果を出す。そういう風に構成すれば、視聴者は頭の中で問題整理ができた状態で結果を見ることができるので、視聴者の見る目、理解度が違ってくるのではないか。また、いろいろミスがあったわけですが、今回、開票所が青少年センターに変わったことと関係があるのかどうか。何かチェックの方法が変わり、テロップなどにミスが出たのではないか。そのあたりの仕組みの再構築が必要だと思います。
・番組を見て大変驚きました。非常にドタバタしたイメージ、クラブ活動で作った番組のようでした。こういう番組なのでリスクがいろいろあるということは理解できますが、それにしても、ここまでミスが出るというのはどうしたものか。また、内容的には前もって集められたEAT独自の情報を中心に進行すればよかったのではないかと思います。いろいろ不体裁な場面も出ましたが、咄嗟にカメラを切り替えるなど対応できなかったのでしょうか。ちょっとお粗末な気がします。また、人名の読み方についても、アクセントがおかしいところがあるなど、聞き取りにくかったと思います。服装についても、女子アナウンサーの服装が乱れて、胸がはだけそうになっているときもあり、もう少し気をつけるべきではないかと思いました。このような番組は今後もあると思いますが、性質上ミスなく放送される番組のはずであり、今後はもっと事前のチェックをすべきだと思います。また、自分の投じた一票がどうなったのかが楽しみになるような番組作りを心がけると良いと思います。
・番組途中で開票率100%になるというタイミングでしたので、意義深いものがあります。ただ、少しミスが多く、その点が惜しまれます。