放送番組審議会

2011年05月17日(火)

第162回 放送番組審議会議事録

開催日時:平成23年4月26日(火)午後3時
課題番組:「タスキを繋ぎたい~1460日 涙の記録~」


1.開催日時:平成23年4月26日(火)午後3時
2.課題番組:「タスキを繋ぎたい~1460日 涙の記録~」
2011年3月30日(水)14時00分~15時00分(60分)
3.議事の概要:
・この入賞する場面を何度も大学の色々なイベントで見ていて、常にこれはすごいなという印象をずっと持っていました。まとめて見て大変分かり易く、内容がこういうことだったのか、特に最初の頃はどういうスタートかよく分からなかったので、なかなか丁寧に作られているなと感じました。
・2007年からの記録が出ていましたよね。2007年の頃から目をつけて追跡なさったのですか?とても良い番組でした。そのような努力をする若者が少ない時に、このような苦しみの中で一つのものを作り上げていくことは大切だと思いました。その割には放送時間が短すぎると思いました。3部くらいあっても良いのかなと思いました。そのようにしていただくと、基本作りの大切さがよく分かると思います。生徒2人、監督1人で基本を作るということは、とてもじゃないが想像ができないようなことだろうと思います。その基本作りの大切さも、今の若者にしかと見せていただきたいと思いました。もったいないと思いました。入学の頃を思い出し、一生懸命に頑張り、最後の挨拶の時に、国仙さんが「11人ではない、12人だよ」と言っていましたが、心温まりました。涙がポロポロ出ていましたが、彼女の思いやりの心に感心しました。そうあるべきですが、なかなかそういう言葉が出ない人が多いのではないかと思いました。もう少し時間的に見せていただく場面があればと思います。大西監督の目の向け方は素晴らしいと思いました。大西監督は運動だけの指導なのでしょうか?それとも他にも何か指導しているのでしょうか?すばらしい先生だと思いました。早稲田さんの卒業後のことが少し分からなかったのですが・・・。早稲田さんの卒業のこともしてあげないと可哀想と思っていました。土佐礼子さんの関わり方が少し気になりました。もう少し関わってもらっても良かったのではと思いました。良い番組で、学生を扱っているので、先生方にも話しをしてあげたいと思いました。
・まず4年前、2人のあそこまでの映像を残していること、「そのきっかけは、たまたま追いかけてこのようになってきた」という表現をされていましたが、創部4年目でシードを取り、全国的に注目されたところから遡り、4年前の2人の駅伝チームが創部されたところを、村上アナウンサーが仕掛けていったのですか?よく最初の2人の創部から追いかけ、あれだけの番組を作れたなとビックリしました。番組の制作意図、流れ、編集を見ていると、アスリートから見た目で作られているので、スポーツに関わっている人間は、興味深く見ることができました。村上アナウンサーがアスリートなのかなと思い調べてみると全然違っていました。その裏にはアスリートの大澤アナウンサーが加わり、陸上100mと何か関係があるのかなと勝手に想像してしまいました。4年間という長い期間をかけて密着取材をされ、監督、選手の中に溶け込んだからこそ作り上げることができた番組だと思いました。その中で捉えられる素顔、悩み、心の葛藤、悔しさ、喜びという本音を取材できたのは素晴らしい、4年間の集大成であったと思います。一言で言うと、「大篇のドキュメンタリー番組」。批判のしようがありません。私もスポーツ関連の一員として、指導者の重要性と選手とのコラボ、一体感となる大切さ、どちらかの能力が欠けても、あの短い期間であれだけのものを作り上げることはできない。6年後に国体がありますが、4年間でこれだけの実績を作り上げたのは、素晴らしい指導者がいて、それに追随する選手がいたからだと思います。6年後の国体もまだまだ愛媛県の点数を上げるには遅くはないと、この番組を見て実感しました。非常に良い番組です。国仙さんが、これから日本のトップレベルにどこまで通用していくのか?せっかく4年間やった訳ですから、これから天満屋に入られ、実業団でも少しずつ取材をしていき、ブレイクした時にまた良い番組ができるのかなという感じがしました。
・良い成績を上げる学校には、必ず良い指導者がいるということを改めて思いました。見ていて気持ちが良かった。スポーツマンはスッキリした顔をしていられることに感動しました。まずドキュメンタリーは筋書きのないドラマです。それはどうなるのか分からない、途中で番組にならないかもしれない、そういう恐れを常に抱えながらずっと追っていたということは素晴らしい。ドキュメンタリーは人間のドラマですが、作り上げたドラマよりもよりドラマティックであった。国仙さんは最後に実業団に就職されました。起承転結ではなく、起承転転という、まだ延長線上にある作りであった気がします。作り方が非常に丹念で、良い番組だったと思います。非の打ち所がないといいますか・・・。一つ私がもう少し見たいなと思ったのは、大西監督の悩む部分です。悩む部分は出さないだろうとは思いますが、どんなに悩んだのか、見せることが出来るかどうかは別にして、相当悩まないと国仙さんを落とすことはできない。そのことを別のカタチで描ければもっと感動すると思う。
・この番組は爽やかで、最初から最後まで気持ちよく見ました。震災の番組をよく見ているので、すぐウルウルしてしまいますが、この番組もウルウルするところがありました。スポーツだからウソがない。ドキュメンタリーなので、作る訳にもいかない。あるがままの姿を描いています。意図されているのか分かりませんが、国仙さんがゼッケンをもらえず、漏れました。晴れの舞台に出られず裏方でした。その時に4位に入賞しました。彼女も監督も泣いていましたが、長い目で見ると良い経験だと思います。人の痛みの分かる人間になれたのではないかという気がします。頑張ってハードトレーニングをやり、優勝し万万歳ではない。大多数の人間はそうは行きません。そういう意味で、挫折と言えば挫折ですが、そういうところを真っ直ぐに描き、12名のところは意図してやったのかは分かりませんが、感動的で良かったです。頑張ったけど、最後めでたしめでたしではないことが多いですが、単なる成功物語ではなく、それを正直に描いたところが良かったです。大西監督が「優勝しても良いチームを作る」ということを言われていましたが、あの言い方は、一生懸命にやっている人から出てくる言葉だなと思いました。優勝するチームではなく、優勝しても良いチームを作りたいという言い方。久しぶりに気持ちのよい番組でした。この番組の制作に敬意を表したいと思います。松山大学は、大西監督という立派な指導者を呼び、全国に通用する女子駅伝チームを作った。国仙さんは北海道から来ましたが、愛媛にはあまりにもスポーツに関する受け皿がありません。ゴルフの松山選手は、松山の人ですが、高校から高知県に行き、東北福祉大学へ。震災後のマスターズを見ると、まるで東北が地元のような感じで放映されていましたが完全に松山の人です。あまりにも受け皿がない。指導者もいない。それを作ろうという組織も少ない。ぜひ松山大学には今後とも駅伝に限らず、受け皿を作っていただきたい。スポーツで受け皿を作り、全国区で活躍すれば盛り上がってきます。愛媛大学もできると思います。今の大学生は何となく生きている人が多い中で、この駅伝に所属した学生は本当に人間性を高めることができたと思います。
・プロローグを見て、最初、普通の人が知りたいと思うのは、なぜ2人で始まったチームが全国大会で4位になるのか?なぜ強くなったのか?よく駅伝やマラソンで女性の場合が多いですが、監督と選手の関係が非常に特殊な世界があります。言い方は悪いのですが、まるでオウムのように運命共同体と言いますか、特殊な世界です。この松山大学の場合も、大西監督と選手たちの間にそのような世界があるのか、その辺が知りたいと思います。大西監督の、監督としての技術論、精神論。なかなか大変ですが、それがどれくらい全体の中で出るのか見ていました。そこにメインの関心がいっていない。行っていないが、分かろうとすれば分かることではあったと思います。それにも増して、この番組が素晴らしいのは、どうなるか分からないというリスクを負った取材だったという点です。大西監督は名城大学のコーチで実績を上げた人です。松山大学の思惑もそうあったのかどうか分かりませんが、実力のある方を招き、ある程度は予想できたかもしれませんが、最初2人のチームが変貌していくのは、先が見えず、思い通りにはいかず、リスクを負いつつ、勇気をもってフォローしたという意味では良い番組ではないかと思います。先ほど指摘したところが、もう少しあれば良い。どうしても早稲田さんと、国仙さんのところに焦点が当たっています。4年間どんどん色々な選手が入ってきて、画面にも登場しますし、最後のレギュラーを決める時は、実力のある選手が選ばれるのですが、名前も分からず、どこの出身なのかも分かりません。インタビューもなく、その選手たちの話が全く出てこず、もったいない。なぜなのだろうと思いました。おそらく非常に駅伝はデリケートな競技だろうし、監督への配慮もあり、ベタベタ近づいていき取材することが、結局、チームへの不利益を与えるという配慮があったのかなと思いましたが、そういったところがちょっと・・・。引き続きウォッチされるでしょうから、その辺と最初に申し上げた大西監督のマジック。いつも思いますが、色々な競技で監督や指導者が代わり、有名な方が入ってくると本当に変わる。なぜ変わるのだろう。そのマジックは何だろう。簡単ではありませんが、そこが実は一番知りたいところだと思います。そのフォローを次に向けてしていただけたらと思います。
・初めて作られたのですよね?見ていて、女子大生はこんな人もいるのだと思いました。娘が女子大生ですが、このような根性もかけらもないと思いました。後半は泣いてしまいました。すごくキレイに作っていて分かり易かったです。4年間を2007年、2008年と写真なども入れ出してくれていたので、切り替えがきちんとできよく分かりました。ですが、最初2名だったのが、段々成長していき、3名入り、5名になり、2名抜け・・・。誰が入ってきたのか、どういう子が入ってきたのか、今回は国仙さんと早稲田さんに焦点を当てているので、詰め込みすぎるとダメだとは思いますが、部活は勧誘がすごく、どのような経緯で入ってきたのか、部を膨らませていく過程、歴史のようなものが見られれば良かったかなと思いました。少し物足りない感じがありました。皆、とてもキレイな目をしていて、悩んでいる時の顔は絶対悩んでいる目だと、表情がよく撮れているのは見ながら伝わってきました。余計に感動したのだと思います。素材的にも悪いものになるはずがない。良いものになるしかないようなネタです。感動的に4年で結果を出せている。4年前の映像に一言いってくださった大澤アナウンサーのラッキーもあり、恵まれて作ることができた作品だと思います。駅伝部はここで終わりではないので、続いていくと思うので、ダメになり減ったり、膨らんだり、波があると思いますが、諦めずにずっと追い続けて、長い目で続けていかれたらと思います。高校生など陸上をしている人で、これを見て来年入部してみたいと思う人は沢山いるでしょう。駅伝というと箱根駅伝しか見たことがなく、女子は何人で走るの?6人なのだ。6人に入れないと落ちるのか。1人が何キロ走るのかわからないような人間なので、今度作る時はそういったことも織り交ぜながら作ってくださると、スポーツ音痴の私でも分かるかなと思いました。タイトルの1460日は365日×4年ですか?うるう年は?という感じです。
・委員の熱く語る言葉に感動し、それくらい真剣に見てくれる番組だということを誇って良いと思います。だからこそ、作るべき番組だったと思います。これからも作っていかなければならない、その期待があります。地元でないと作ることができない作品であり、地元の人を熱くさせる作品を期待しています。私自身いつも思うのは、指導者としては、「取材に来てくれるな、ほったらかしてくれ」といったところがあると思います。そこにいる先生とコミュニケーションしつつ、どこかに離反的な部分を持ちながら、その団体を見つめて欲しい。そういうところもあると思います。提灯記事ではありませんが、おだてて誉めるだけではなくて、冷静にその団体を見ている、その団体を取り上げるべきか、取り上げるべきではないかと見ている。そういうことを含めて、ある種、番組の作り手側が成長していっていただきたいところだと思いました。早稲田さんのインタビューは必要なかったと思います。早稲田さんからの手紙だけで、早稲田さんからのタスキもここに届きましたというカタチで。早稲田さんのインタビューは私にとっては厳しく、必要なかったと思いました。ドキュメンタリーということであれば、高橋委員も言われましたが、データがありません。中四国駅伝に出場したチームが何チームあり、その人たちが出した記録がどうなのか?数字がないままでナレーションだけで対応しているところが弱いと思いました。全日本の女子大学駅伝もその出場チームなどのラインナップが全くなかった。ドキュメンタリーとしては弱い。ドラマ性の方だけ追及している。そこはドラマではないので、しっかり抑えて欲しいと思いました。大学生はこんなに素晴らしい子たちでも、記念写真を撮る時に「ピース」ばかり・・・。
・一番気になったのは、あの日焼けのシミ。日焼けはどうやって対策するのだろう。すごく気になりました。若いから薄れていくのかなとも思ったのですが、きっと残ると思います。地味な努力で撮影、取材をなさり、ご苦労がすごかったと思います。特に松山大学という地元の大学を取り上げ、ずっと取材されたのは良かったと、愛媛県民としてすごく良かったと思います。松山大学がこんなに素晴らしい大学ということを、皆にさりげなく知っていただけるきっかけになると思います。早稲田さんのインタビューですが、去った人は追いかけない方が良いというのが、私のポリシーです。去りゆく人を追いかけない。寄ってくる人はどうぞ。一つの組織の中で、国仙さんが未来への栄光を夢見る挫折は、とても画になったと思います。最後、天満屋の実業団に入ったのもすごく画になったと思いました。ですが、2人の番組ではないので、6名なら6名、11名なら11名の人たちを映す番組なので、選手になり走った方を、もっと高く評価してあげれば、また頑張るぞという勢い、心構えが新たに生まれると思います。あまりにも2人にスポットが当たり過ぎで、走った人たちが忘れられていると感じました。グループの中でメンバーに呼ばれる、呼ばれない、緊張感の中で名前を呼ばれなかったという経験がないのですが、還暦近くなり、初めてそういう辛い気持ちがあるのだということが分かりました。ずっとオペラを勉強し、周りの人たちの温かい思いやり、励まし、力強い助けがあったから、やっぱり出来た、この年になり初めて感じ、優しい気持ちになれました。とても良い番組だと思いました。監督にもう少しスポットを当ててもらえると、監督の心の中、そこで何を考えているのかが伝わると、別のスポーツをしている監督にも一つのヒントを与えることにもなると思います。全体的に素晴らしく、ナレーションも良く、企画も良く、とても良い番組でした。