放送番組審議会

2022年05月15日(日)

第272回放送番組審議会

第272回放送番組審議会  2022年4月
課題番組: 「あなたに翼を~長期欠席の子どもたちへ~」
放送日時: 2022年3月13日(日) 午前10:50~11:45

 

 

・ 去年11月に「テレメンタリー」として放送した番組を再構築したとのことであるが、前作品で感じた疑問や物足らなさが解消されて、とても新鮮な気持ちで視聴できた。また、簡潔な言葉と柔らかい口調のナレーションも好印象だった。

 

 

・ 視聴者が見やすい番組にするために、重いテーマに向き合い、大変な手間や時間をかけて様々な障壁を乗り越えて制作したことに加えて、休日の視聴しやすい時間帯で放送した局の努力も賞賛したい。

 

 

・ 番組タイトルの「長期欠席」の表記について、「不登校」という子どもたちの心を苦しめる言葉が使われなくなって欲しいという願いが込められているように感じられて、良い印象を持った。

 

 

・ 学校に行けない子どもたちのシェルターだと一般的には思われがちな場所かもしれない。しかし、学園の目指すものは、学校に復帰することだと番組は一貫してまっすぐに伝えたところがよかった。

 

 

・ 学園の運動会のシーンで、「勝っても負けても笑顔でいられる」とか、「嫌な思いをしない運動会」など、子どもたちの思いを直接聞く取材が出来たところがとてもよかった。

 

 

・ 個別カウンセリングのシーンや、見学に来た保護者を迎えて子どもたちが話をするシーン、巣立ちを祝う会での送る言葉と交わされる抱擁のシーン、こういった大切なシーンを丁寧に扱ったことで学園の本気が凄く感じ取れて子どもたちの言葉の説得力もさらに増していた。

 

 

・ 学校に行けない子どもたちがどのくらいいるのか、その6割が引きこもり状態だといった数値の提示は一般の視聴者にも気づきを与えて、問題理解のヒントになったと思う。

 

 

・ 行政側の担当者にインタビューするシーンで、取材ディレクターが簡単な言葉を使い鋭く斬り込む質問を繰り出していた。そこにドキュメンタリーとしての良さが感じられ、とても印象に残った。

 

 

・ 翼学園の取り組みが単に素晴らしいというのではなく、子どもたちの人生が番組テーマの主軸であることがはっきりと伝わった。次回は子どもたちのその後を追った、未来につながる番組を期待したい。

 

 

・ こういう番組は、動画配信やインターネットテレビではあまり見られないと思う。テレビの存在意義を再認識し、底力を感じさせられた。