第299回放送番組審議会
第299回放送番組審議会 2025年1月
課題番組:「ここから始めるたったひとつのレストラン~久万高原の山間に響く声~」
放送日時:2024年9月29日(日)16時00分~16時30分
・番組自体、内容は老舗レストランが移転するというシンプルなストーリーだが、
その中に移住のエピソードや廃校をレストランにリフォームしていく話、
老舗の定番メニューと新メニューというグルメの要素も盛り込まれていて、
充実したつくりになっていた。
・移住によって転校した子供たちがどう思っているのか、
店主の両親はこの移転についてどう思っていたのか、
移転したお店に来て何か手伝ったりしているのかなども知りたかったが、
30分番組にこれ以上情報を入れるのは難しいだろうとも思った。
・少子化や過疎化をテーマにするとあきらめとか悲壮感がただよってくるが、
松山の名店「モルゲン」の移転をきっかけに住民が集まれる場所ができて人の流れが生まれ、
更に外部の人を呼び寄せる観光資源になるかもしれないという希望を感じた。
視聴した後、何か心が温かくなる番組だった。
・「モルゲン」の料理の魅力だけでなくて、店主の黒田さんが日々の生活や祭りを通して、
地域に溶け込むことに尽力している姿を取り上げた点は大変良いと思った。
移住、定住が過疎を救うと自治体や政府が推進しているが、
実際、多くの移住者はその地域に長年住んでいる人たちとの関係に悩んでいる。
その点をスルーしないで、黒田さんが克服していく様子を番組の中で伝えたことが大変良かったと思う。
・店主の方の印象的な言葉「現状維持をするためにこそ、大きな決断をして新しいことをしないといけないんだ」とか、
この店主が人見知りであったが、地域の方とダンスを踊るなどして触れ合いながら地域に馴染んでいく姿も見られて、
非常に良いと思った。
・両親からレストランを引き継いだわけだから、
両親の目から見てこの移転がどうであったかという視点があれば良かった。
・JR松山駅の高架化事業の変更によるレストランの立ち退きで、
県内でも過疎化、高齢化が進んでいる久万高原に移住し、新たに店を出店する決断をした。
成功をすれば地域の活性化にもつながることだし、
店主の方も地域の方々との触れ合いを重視して頑張っていることがよくわかる番組に仕上がっていて非常に良かった。
・この番組で伝えたかった柱は何だったんだろうか、
なぜ、この店を取り上げたのかがわかりにくかった。
JR松山駅の高架化事業の影響の問題を取り上げているのか、
それとも、飲食店の世代交代の話なのか、街なかの店が田舎でチャレンジして成功するのかといったドキュメントなのか。
一本の芯はどこなのかなと思った。
伝えたいところがぼやけてしまうと、ただ店を紹介しているだけになってしまう。
問題提起をするならば、もっとはっきり打出して、30分を作り上げた方が良いと感じた。
・松山の人は久万高原がすぐそばにあるのでピンとくると思うが、
東予の人は普段意識して過ごしていないと思う。
県内の番組であっても、地図などで位置関係をしっかり見せるべきだった。
・過疎地に移転するのは挑戦だ。
移転した直後は前の店からのお客も来てくれるけど、
純粋に商売として成り立つのかどうかと感じた。
・インバウンドとか観光客相手の店を始めたのであれば、とても素敵な発案だし、
これからも頑張って欲しいと思いながら見ていた。
旅行会社関係に売り込むもよし、もっといろいろな面で売り込んで、
レストランを盛り上げて欲しいと思った。
・店が松山市の宮西にあった時の常連だった人たちは、
移転をどう思ったのかを一番知りたかった。