放送番組審議会

2024年11月24日(日)

第297回放送番組審議会

第297回放送番組審議会  2024年10月

 

 

課題番組:「テレメンタリー2024 ふるさとに生きる~揺れた石垣の里~」
放送日時:2024年9月6日(金)[午前]4時25分~4時55分

 

 

・愛南町外泊地区の石垣の風景はコンクリートではない良さを感じた。石垣が崩れたら、

住民の共同作業で積み直して回復させていく。松山市内でマンションに住んでいたら、

共同作業なんて思いもよらないことだし、自分の住んでいる地域を回復させるということは

有り得ないことなので、非常に良い番組だと思った。

 

 

・空撮による映像を含めて、湾の様子とか石畳、石垣、それに触る人の手、

それから、海中に至るまで、風景を撮影したシーンが非常に美しかった。

「ふるさとに生きる」というテーマとその美しさがつながっているんだと思った。

 

 

・中盤から後半にかけて、止まらない人口減少や担い手不足、高齢者にとって住みづらい集落、

それから、衰退した産業、若者の流出。地域の課題が一気に出て来た。

30分弱の番組で多くの課題を取り上げるには短い。

最後は、防災の課題一本に出口を求めていった方が、課題がぼやけなくて良かったと思う。

 

 

・「外泊 いしがき守ろう会」の会長、愛南町外泊の区長、

そして、女子高校生のコメントはどれも故郷を愛する気持ちがすごく感じられて、

とても温かい気持ちになれた。その土地に生きて、住んでいる人でないと、

出て来ない言葉がたくさん散りばめられていて、とても心に残るインタビューが多かった。

 

 

・尾野真千子さんのナレーションはすごく番組のトーンとマッチしていて、

聞いていてとても心地良かった。淡々としているが、

温かみがある芯の通った声がすごく気持ちが良かった。

 

 

・地域の課題がいっぱいあり過ぎて、この番組は最後に何を一体伝えたかったのかがぼやけてしまった。

これから未来に続くようなまとめ、住民の方の気持ちや言葉をもっと最後に聞きたかった。

作り手が外泊を取り上げた理由や思いが、もう少し番組を通して一本伝わって来たら良かった。

 

 

・石川県の能登半島の未だに復興が行われていない地区と重ね合わせて見た。

番組の中でも孤立するリスクという点がすごく響いた。

孤立するリスクがある場所、足摺宇和海国立公園に抱かれ景観も素敵なこの場所に住み続けていくには、

今、どうしたらいいのかとか、いろいろ考えさせられた。

 

 

・地震直後からお盆まで長期にわたって現地取材をしたことで、

石垣など外泊地区特有の話題だけではなく、災害時に孤立する集落が抱える、

全国に共通するような問題が浮き彫りになっていた。

 

 

・愛媛大准教授が「景観を守ろうという住民の強い気持ちは、

災害時にコミュニケーションが取りやすいことにつながる」と述べるシーンがあった。

孤立集落の問題を解決する一つの手段だと感じたし、番組でそれを提示したことは意義があったと思う。

 

 

・高校生が登場し、盆のお祭りで終わるラストシーンは、地区の明るい未来を暗示しているようで、

希望を感じさせる幕切れだと思った。

 

 

・テレメンタリーの放送時間にいろいろな内容をたくさん含むと、どうしても発散しがちになるが、

番組自体は割とまとまっている印象を受けて良かったと思う。

 

 

・南海トラフ地震の発生確率が高まるなか、震度6弱の地震が愛南町を襲った。

石垣の町、外泊にスポットをあてた防災意識を高める番組で良かったと思う。