第288回放送番組審議会
第288回放送番組審議会 2023年11月
審議課題: 「テレメンタリー2023 何もないけど墓はある」
放送日時: 2023年10月13日(金) 午前4時25分~午前4時55分
・現在、亡くなっても入る墓が無い人が増えて社会問題になっている。
体調も悪い中で、共同墓地の購入を通じてコミュニティを形成し、
お互い励まし合って生きているというところは非常に良かった。
・お墓という視点を通じて、生活保護を受給しながら、家族の問題であったり、
病気を患いながらそれでも煙草を吸いたい、やりたいことをやりたいという人など、
様々な人の人生を何人か追っているというところが、非常に興味深く、
ドキュメンタリーの中に非常に魅力があり、集中してしっかり観ることが出来た。
・「希望を持って死んだ方が良い。みんながまた会いに来てくれる」
というコメントが出て来たが、共同墓に入るために、
生活保護費から少しずつお金を入れている人の思いが視聴者に確かに伝わったのではないか。
・重度の肺がんで医者から止められている人が、せきをしながら煙草を吸うというシーンは、
痛々しいものを感じた。ビニール袋に詰められた吸い殻の映像もあったので、
女性が煙草を止めていないことをそういう映像でも分かる。
あえて煙草を吸うシーンを入れる必要があったのかと感じた。
・制作側の感情に押し流されない信念というか、良い意味での頑固さが伝わる番組だったと思う。
お墓のことについても、それから地域のことについてもよく勉強をしていると思った。
・生活と健康を守る会のメンバーが、プライベートや生活内容までの取材に対応して、
実名で登場していたのは、やはり制作側との強い信頼関係があったからだと察せられた。
ただ、視聴者に実名まで知らせる必要があったのかは疑問だった。
・とても重いテーマに触ったんだなと、まず感じた。生活保護受給者より生活が苦しいが、
生活保護がもらえない人がいるとも聞く。掘り下げても限りが無い本当に深いテーマをこういう切り口で、
取り組まれたことに敬意を表したい。
・「次の方がお墓参りに来てくれるから」と番組で言われていたが、
自分がお墓参りに行く回数とか、子供たちがお墓に手を合わせていることは、本当に少ない。
そういう面も踏まえて、何か本当に考えさせられる番組ではあった。
・テレメンタリーの番組は、放送後、YouTubeでも配信するようになっている。
YouTubeのこの番組のコメント欄に英語のコメントがあって、
日本人ではない方がコメントを付けていた。愛媛発で世界から反応があった番組として、
内容にはいろいろと考えさせられるものがあった。