2025 Vol2 株式会社大石工作所
代表取締役社長 大石憲一

「職場や会社は人がつくる。」
100億円企業を目指す社長の一番大事なものについて聞きました。

講義内容・登壇企業紹介
INTRO
DUCTION

今回の講義内容

「AIや自動化が進む時代に、人の価値はどこにあると感じますか?」
会社経営において「人」を一番に大切にする大石社長に、人の価値について聞きました。効率化が急速に進む社会で、人にしかできないこととは――

登壇企業について

私たちの暮らしに欠かせないエネルギーや素材を生み出す巨大な「プラント」。その心臓部を守り続けるのが大石工作所です。「プラントを守る」ことと、「ものづくりを守る」ことを使命とし、地域のみんなの生活を支えてくれている会社です。

登壇者紹介

株式会社大石工作所
代表取締役社長

大石憲一

 

学生から企業に向けて、
100個の質問をしました!

Q.
4

いきいきわくわくプロジェクトについて、具体的に教えてください。

大石社長

いきいきわくわくプロジェクトは、まず会社と社員の“相互の愛着心=エンゲージメント”を可視化することから始まります。働きがい、職場環境、コミュニケーションなどの状態を見える化し、そこから課題を抽出。次に、全社員がその課題に向き合い、意見を出し合い、改善策を自分たちでつくり上げていくという流れです。トップダウンではなく、社員一人ひとりが主役となって職場を良くしていくことで、主体性と誇りが育ちます。会社と社員が互いに歩み寄り、支え合いながら成長していく文化づくりが、このプロジェクトの目的です。

Q.
5

人事制度の刷新や「冒険の書」について、詳しく教えてください。

大石社長

当社の人事制度刷新の中心にあるのが、「ぼうけんのしょ」と「成長へのコンパス」です。「ぼうけんのしょ」は人事制度全体を理解するためのガイドブックで、自分の強みや価値観、今後挑戦したいことを整理する“キャリアの地図”のような存在です。一方「成長へのコンパス」は、人事評価をどのように考え、どんな成長ステップを描くのかを示す評価ガイドブックです。どちらも社員選抜メンバーによるプロジェクトから生まれたもので、現場の声と想いが詰まっています。自分の人生を主体的に描き、仲間と成長し合う文化をつくるためのツールです。

Q.
30

人を大切にされていると感じますが、社員のやる気や成長を引き出すために意識していることはありますか?

大石社長

社員のやる気や成長を引き出すうえで大切にしているのは、まず「一人ひとりの存在をきちんと認めること」です。人は、評価よりも“理解されている”と感じたときに力を発揮します。そのため、強みや良い行動をできるだけ早く言葉にして伝え、挑戦したい気持ちを後押しすることを意識しています。また、当社の行動指針である 「熱くする×人=真剣に本気で向き合う」 を実践し、社員の悩みや目標に丁寧に寄り添うことで、安心して挑戦できる環境をつくっています。成長は押しつけるものではなく、引き出すもの。社員が「自分は必要とされている」と実感できる瞬間こそ、やる気の源泉になると考えています。

Q.
47

大石工作所さんが目指している「将来的な理想の姿」や「企業像」はどのようなものですか?

大石社長

当社が目指している将来的な理想の姿は、「人が主役であり続けるものづくり企業」です。安全・品質を軸にした責任施工を通じて社会インフラを支えながら、社員一人ひとりが誇りとやりがいを持って働ける会社でありたいと考えています。また、四国と関東の両エリアで事業を安定的に展開し、新たな事業や社内ベンチャーが自然に生まれるような、挑戦が当たり前の企業文化を育てていきたい。その根底にあるのは理念経営と人本経営です。地域に開かれ、次世代に価値をつなぎ、社員が「この会社で働けて良かった」と心から思えること。それこそが、大石工作所の目指す企業像です。

Q.
50

社員の方々がやりがいを持って働けるように、また若手や女性も活躍できる職場づくりのために、どのような取り組みをされていますか?

大石社長

社員がやりがいを持って働ける職場づくりで大切にしているのは、性別や年齢に関係なく、一人ひとりの強みや意欲が正しく活かされる環境を整えることです。若手には早い段階から現場での経験や挑戦の機会を与え、失敗も成長の糧として受け止める文化を育てています。また、女性を含め多様な人材が安心して力を発揮できるよう、業務の分業やサポート体制の見直し、柔軟な働き方の整備にも取り組んできました。重要なのは、「一人ひとりに合った働き方や役割を考える会社を、社員全員でつくっていくこと」。社員が自分の仕事に誇りを持ち、「この会社で成長できる」と実感できる職場を目指しています。

Q.
80

オープンファクトリーなどの取り組みを通じて、地域をどのようにより良くしていきたいですか?

大石社長

オープンファクトリーを通じて目指しているのは、会社と地域の間にある垣根をなくし、「産業が身近に感じられる地域」をつくることです。工場や働く人の姿をオープンにすることで、子どもたちや学生、地域の方々に、ものづくりの価値や仕事の魅力を知ってもらいたいと考えています。それが将来、地域で働く選択肢を広げるきっかけになれば嬉しい。また、地域の皆さんが気軽に立ち寄れ、誇りに思える場所になることで、街への愛着やつながりも生まれます。企業が地域に開かれ、地域と一体となって人を育て、未来をつくっていく。その循環をつくることが、私たちの目指す地域との関わり方です。

Q.
93

AIや自動化が進む時代に、人の価値はどこにあると感じますか?

大石社長

AIや自動化が進む時代だからこそ、人の価値はより明確になると感じています。私たちはAIを積極的に受け入れ、バックオフィスやデスクワークなどの仕事は任せる。そのうえで、人は人にしかできない領域に集中すべきだと考えています。現場での判断力、違和感に気づく感性、相手の立場をくみ取る対話力、そして責任を引き受ける覚悟は、人ならではの価値です。また、感動は必ずしも効率の先にあるものではありません。少し遠回りをし、手間をかけ、相手を想って行動する。その“非効率”の中にこそ、人の温度や感動が生まれます。AIと人が役割を分かち合い、人の価値がより輝く社会を目指したいと考えています。

Q.
100

国際業務の拡大に有利となるため、外国人材との協力も検討できると思います。海外市場向けに人材育成や採用計画を構築し、特に多言語能力や異文化適応力、プラント運営経験を持つ外国人材を活用することで、国際競争力の向上が期待できます。また、既存のオープン・ファクトリーのモデルと連携させ、日本で培った教育制度を海外展開することも可能だと考えます。

大石社長

ご提案の方向性には大いに可能性を感じています。ポイントとなるのは優秀な人材の確保だと考えています。現時点では、当社には国際業務に本格的に従事できる人材が十分に育っておらず、まだ現実的とは言えない部分もあります。ただし、今後、優秀な外国人高度人材を受け入れたり、グローバルな視点を持つ社員が育ってくれば、国際業務の可能性は一気に広がります。現地の外国人材やサプライヤーとの協力、海外展開も、その延長線上に自然と生まれてくるものだと思います。日本で培ってきた現場教育や技術伝承の力も、人が育ってこそ海外で通用する。まずは人づくりを徹底し、その結果として国境を越えた挑戦につなげていきたいと考えています。

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講義中に答えられなかった残りの質問も
すべて答えてもらいます!

Q.
企業の基本情報、提供する製品・サービスについて
  • 創業から現在までで、特にターニングポイントとなった出来事はありますか?

    昭和50年頃、主要顧客であった住友アルミニウム様の設備移転により売上が激減し、会社の存続が揺らぎました。しかしこの逆境が転機となり、化学プラントメンテナンスへの事業展開を決断し、現在の基盤が築かれました。
    私自身は2011年に理念経営を導入し、「人を真ん中に置く」という軸を明確にしました。そして2025年11月には千葉工場を建設し、四国から関東エリアへ進出。新たな地域での挑戦が始まりました。人の力を信じ、未来へ歩み続けています。

  • 製造から保全まで一貫で行う中で、特に技術力を要する工程や工夫しているポイントはどこですか?

    製造から保全まで一貫して担う上で最も重要なのは、プラントの目的や特性、扱う物質を深く理解することです。それにより、安全性・効率性・品質を踏まえた最適なメンテナンスサービスが提供できます。特に高度な技術を要するのは、配管施工、溶接、機械整備、装置据付といった基幹技術で、どれも精度が全体の稼働に直結します。また現場では、設備の癖や運転条件を読み取り、状況に合わせて判断を修正する力も欠かせません。技術と感性の両方を磨くことが、一貫施工の価値を最大化します。

  • 創業から80年以上続いている中で、大きく変わったこと・変わらないことは何ですか?

    創業から80年以上の歴史の中で、技術や機械の進化により作業工程は大きく変わりました。IT化も進み、保全データの管理や予兆監視、図面の扱い、事務作業まで効率が格段に向上しました。しかし、どれだけ時代が変わっても変わらないものがあります。それは“安全”を最優先する姿勢と、人の命の尊さです。また、創業者から受け継いできた事業精神や経営理念、働く人への想いは今も会社の中心にあります。新しい技術を取り入れながらも、守るべき本質は変えずに未来へつないでいます。

  • いきいきわくわくプロジェクトについて、具体的に教えてください。

    いきいきわくわくプロジェクトは、まず会社と社員の“相互の愛着心=エンゲージメント”を可視化することから始まります。働きがい、職場環境、コミュニケーションなどの状態を見える化し、そこから課題を抽出。次に、全社員がその課題に向き合い、意見を出し合い、改善策を自分たちでつくり上げていくという流れです。トップダウンではなく、社員一人ひとりが主役となって職場を良くしていくことで、主体性と誇りが育ちます。会社と社員が互いに歩み寄り、支え合いながら成長していく文化づくりが、このプロジェクトの目的です。

  • 人事制度の刷新や「冒険の書」について、詳しく教えてください。

    当社の人事制度刷新の中心にあるのが、「ぼうけんのしょ」と「成長へのコンパス」です。「ぼうけんのしょ」は人事制度全体を理解するためのガイドブックで、自分の強みや価値観、今後挑戦したいことを整理する“キャリアの地図”のような存在です。一方「成長へのコンパス」は、人事評価をどのように考え、どんな成長ステップを描くのかを示す評価ガイドブックです。どちらも社員選抜メンバーによるプロジェクトから生まれたもので、現場の声と想いが詰まっています。自分の人生を主体的に描き、仲間と成長し合う文化をつくるためのツールです。

  • HPでSDGs登録証などを拝見しましたが、日々の仕事の中でSDGsに貢献していると感じることは何かありますか?

    SDGsは特別な取り組みではなく、私たちの仕事そのものが深く結びついています。プラントの安全と安定稼働を支えることは、エネルギーや資源の無駄を減らし、環境負荷の低減にも貢献しています。また、設備の長寿命化に向けた保全技術の向上や改善提案は、持続可能な産業基盤をつくる重要な取り組みです。さらに、会社が発展し雇用が生まれることで、地域経済が活性化し、住み続けられる町づくりにもつながっています。私たちの仕事の積み重ねが、地域の未来を支える力になると実感しています。

  • 協力会社が多い中で、建設チームとしてまとまるために何をされていますか?

    協力会社が多い建設現場では、まず全員が“同じ目標に向いている状態”をつくることが重要です。そのため当社では、工事の目的や安全・品質の基準を丁寧に共有し、関わる全社の認識をそろえることを徹底しています。また、作業の流れを事前に細かく確認し、現場に潜む危険や課題を一緒に洗い出す場を設けています。会社の垣根を越えて意見が交わせる環境が、一体感を生み、ミスや事故の防止にもつながります。さらに、情報の見える化やコミュニケーションの強化により、若手でも声を上げやすい雰囲気を整えています。互いの強みを尊重し合うことで、安全で高品質な工事が実現します。

  • 創業から現在に至るまでの中で、会社として特に転機となった出来事はありますか?

    当社の歴史の中で大きな転機となったのは、住友化学様の化学プラントへ事業をシフトしたことです。社会の要請や外部環境の変化により、従来の事業だけでは未来を描きにくくなり、化学プラントの保全・工事へ軸足を移したことが、現在の技術力と信頼の基盤を築きました。もう一つの転機は、私が2011年に理念経営を始めたことです。“人を真ん中に置く”という経営方針を明確にし、社員の働きがいと成長を中心に据える文化へと舵を切りました。この二つの決断が、今日の大石工作所の土台となり、未来への方向性を形づくっています。

  • Oishi Parkを作ったきっかけを教えてください。

    Oishi Parkをつくったきっかけは、えひめさんさん物語で実施した「アーティスト in ファクトリー」が大きな反響を呼んだことでした。当日は1,000人を超える来場があり、地域の方々が工場に足を運び、ものづくりに触れ、交流が生まれる姿に大きな可能性を感じました。この体験を一過性で終わらせるのではなく、これからも市民の皆さんに気軽に訪れてほしいという想いが芽生え、本社工場の一部を開放し、当時の作品や設備を取り入れた「プラントをモチーフにした公園」として整備しました。工場が地域に開かれ、つながりを育む場所へと変わることを願っています。

  • 他社では難しいような加工や、特に強みのある分野はどこでしょうか?

    当社の強みは、単なる加工技術ではなく、プラントの特性を深く理解した上で最適なメンテナンスを提供できることにあります。扱う物質、運転条件、設備の歴史を踏まえ、「なぜこの材料か」「なぜこの方法か」といった背景を読み解きながら最適解を導く力は、他社には簡単に模倣できません。その裏付けとなっているのが、80年以上にわたり化学プラントに向き合ってきた施工実績と蓄積されたノウハウです。配管、溶接、機械整備、据付といった基幹技術が一体となり、設備の状態に合わせた高度な判断ができることが、当社ならではの強みです。

Q.
強み・弱み・機会・脅威(SWOT分析)、付加価値・差別化
  • 地域の中で他社と差別化できている点や、特に自社の強みとして誇れる部分はどのようなところですか?

    当社が地域の中で差別化できている最大の理由は、理念経営・技術力・人材力の三つを一貫して磨き続けている点にあります。まず、理念経営を軸とした堅実経営により、外部環境の変化に左右されにくい強い組織基盤を築いてきました。次に、化学プラントの特性を深く理解した保全技術や施工ノウハウなど、技術技能におけるコアコンピタンスを確立し、高い専門性を提供できることが強みです。そして、人を中枢においた人本経営により、主体性・誇り・成長意欲を持つ人材が育っています。この三つが揃うことで、他社にはない総合力を発揮できています。

  • ターゲットとポジショニングを決める上で、どのようなことに気をつけていますか?

    ターゲットとポジショニングを考える上で大切にしているのは、「普遍性」と「長期性」です。まずターゲット企業については、社会にとって永続的であり、当社と長くパートナーとして歩んでいただける存在かを重視しています。一時的な需要ではなく、共に成長し続けられる関係性を築けるかが重要です。
    ポジショニングについては、単なる協力会社ではなく、元請として価値を発揮できる領域かどうかを基準としています。プラントの安全・品質・保全に責任を持ち、提案力と総合力を発揮できる位置づけを確立することで、当社の強みがより活きると考えています。

  • 長年培った技術や経験の中で、他社には真似できない独自のノウハウは何ですか?

    当社が他社に真似できないと考えている独自のノウハウは、長年の経験で培ってきた “状況を読み解く力” と “それを実行に移す対応力”、そしてその土台にある “人間力” です。化学プラントの現場では、図面には現れない設備の癖や経年劣化、運転条件の変化など、微細なサインを読み取る力が求められます。さらに、その気づきをもとに最適な施工方法や保全策へ瞬時に落とし込む判断力・行動力は、経験と鍛錬の積み重ねによってのみ育つものです。技術・経験・人間力が一体となり、“設備を最も良い状態で動かし続ける力” が当社独自の価値であり、他社には容易に模倣できない強みです。

  • 他社との差別化戦略について教えてください。

    当社の差別化戦略の中心にあるのは、技術やコストといった QCDSEL(品質・原価・工程・安全・環境・労務)だけではなく、社員がいきいきわくわく働ける風土づくりにあります。主体性や創造性は、働く人の“心の状態”からしか生まれません。だからこそ、社員一人ひとりが自分の仕事に誇りを持ち、課題を自ら発見し、改善に動ける環境づくりを重視しています。その中で育つ オーナーシップやリーダーシップ は、現場の判断力と対応力を強化し、結果として高い顧客価値につながります。人が成長し続ける組織は、技術力もサービス力も総合的に強くなる。当社が大切にしているのは、この“人づくりによる差別化”です。

  • 高齢化や人口減少による人材不足に対して、どのような取り組みを行っていますか?

    高齢化や人口減少による人材不足に対して、当社は“人が育つ環境づくり”を中心に取り組んでいます。若手採用だけに頼るのではなく、入社後の育成・定着・キャリア形成まで一貫して支えることを重視しています。そのために、理念経営を軸にいきいき働ける風土を整え、若手が挑戦できる機会や学びの場を増やしています。また、女性や未経験者の活躍推進、シニア人材の知見活用、協力会社との連携強化など、多様な人材が力を発揮できる組織へ進化させています。人材不足への最も確実な解決策は、“辞めない会社”“育つ会社”をつくることだと考えています。

  • ライバルとしている企業はありますか?

    特定の企業を「ライバル」と位置づけることはしていません。もちろん同業他社の取り組みから学ぶことは多くありますが、当社が本当に向き合うべき相手は“昨日の自分たち”だと考えています。外を意識しすぎると、本質からぶれてしまいます。大切なのは、理念に基づいて正しい努力を積み重ね、技術力・現場力・人づくりの質を継続的に高めること。そして、お客様や地域から「なくてはならない」と思っていただける存在であり続けることです。競争ではなく、成長を目標に置く姿勢こそ、当社が大切にしているスタンスです。

  • 人材育成という面で、他社と異なる強みをどのように出されていますか?

    当社の人材育成の強みは、技術教育だけでなく“人を育てる”ことを重視している点にあります。技術は時間をかければ身につきますが、主体性・責任感・仕事への誇りといった人間力は、環境と文化がなければ育ちません。そのため当社では、理念経営を軸にいきいきわくわく働ける風土をつくり、若手が挑戦できる場や、互いに学び合う仕組みを整えています。また、「ぼうけんのしょ」や「成長へのコンパス」など、社員自らがキャリアを描くツールを設け、会社と個人の成長を結びつけています。技術×人間力×理念の三位一体で育てる点が、他社にはない当社の独自性です。

  • 人事制度の刷新を行ったことで、会社にどのようなメリットが生まれましたか?

    人事制度を刷新した最大のメリットは、社員一人ひとりが「自分の成長」と「会社の方向性」を結びつけて考えられるようになったことです。評価のための制度から、成長を後押しする仕組みに変わったことで、主体的に学び挑戦する社員が増えました。また、「ぼうけんのしょ」や「成長へのコンパス」により、自分のキャリアや強みを明確に言語化できるようになり、上司との対話も深まりました。結果として、働きがいやエンゲージメントが高まり、定着率の向上や組織全体の一体感につながっています。人を中心に置いた制度が、会社の未来をつくる力になっています。

  • 石油化学プラントのノウハウは、再生エネルギーのプラントにどのくらい生かせるのでしょうか。また、どのような違いがあるのですか?

    石油化学プラントで培ったノウハウは、再生エネルギー分野でも大きく活かすことができます。配管・溶接・機器据付・保全といった基盤技術は共通しており、設備を安全に動かし続けるという本質は変わりません。一方で、再エネは扱う媒体(ガス・水素・高温流体など)や運転条件が異なり、設備構造やリスクの特性も変わります。また、石油化学が長期安定運転を前提とするのに対し、再エネは環境変動や負荷変動への対応が求められる点が特徴です。つまり、基礎技術の多くは応用できる一方で、新しい知識や安全基準を学び、変化に適応する力が不可欠です。両者の違いを理解した上で融合できることが強みになります。

  • 今後の製造業ではAIやロボット化などの変化が進むと思いますが、大石工作所として“人が担うべき仕事”はどんな部分に残ると思われますか?

    製造業にAIやロボット化が広がる中で、大石工作所が大切にしたいのは、“人にしか担えない仕事”をコアコンピタンスとして磨き続けることです。デスクワークやバックオフィス業務はAIを活用し、生産性と効率を最大化していく一方で、現場での判断力、危険予知、気づき、そしてお客様との信頼関係づくりといった領域は、これからも人の力が不可欠です。私は、「感動は非効率から生まれる」と考えています。時間をかけ、対話を重ね、想いを込めるからこそ伝わる価値があります。技術が進化しても、人にしか生み出せない感性や誠実さが、会社の未来をつくる中心であり続けます。

  • HPや動画制作など企業の魅力発信が十分に行われており、採用に強みを持っているように感じました。採用における強みはありますか?

    採用に特別な“強み”があるというより、私たちは「会社のありのままを丁寧に伝えること」を大切にしています。HPや動画制作も、その一環として社員の姿や仕事の意義、職場の雰囲気をできるだけリアルに表現しています。魅力を飾るのではなく、実際に働く人の声や想いを発信することで、共感してくれる学生や求職者と出会えると感じています。また、理念経営のもとでいきいき働く社員が増えたことで、紹介や口コミからの応募も増えました。採用の強みは“情報発信”ではなく、“働く人が誇りを持てる組織づくり”にあると考えています。

  • 22社の協力会社とのネットワークにおける信頼関係は、どのように築いてきましたか?

    協力会社の皆さまとの信頼関係は、特別な仕組みよりも、“日々の誠実な積み重ね”によって築いてきました。技術力はもちろん大切ですが、それ以上に「約束を守る」「安全を最優先にする」「困った時に互いを支える」といった姿勢が、信頼の土台になります。また、現場での情報共有や事前調整を丁寧に行い、会社の枠を越えて意見を出し合える関係づくりを心がけています。協力会社を“外部”ではなく“仲間”と考え、成果も課題も一緒に分かち合う。そうした姿勢を続けてきたことで、協力会社とのネットワークは強い絆となり、大石工作所の現場力を支えてくれています。

  • 若い社員を獲得するために行っていることはありますか?

    若い社員を獲得するために特別なテクニックを使っているわけではありません。大切にしているのは、“会社の本当の姿を正しく伝えること”です。HPや動画、会社説明会では、働く社員の姿や仕事の意味、成長のストーリーをできるだけリアルに発信しています。また、インターンシップや工場見学を通じて、プラントの迫力や現場の空気を体感してもらう機会も増やしています。さらに、理念経営のもとでいきいき働く社員が増えたことで、紹介や口コミで入社する若い世代も増えています。魅力を作るのではなく、魅力のある組織づくりを徹底することが、結果として若手採用の強みにつながっています。

  • 人材育成をする際、何を考え、どう接していけば人は伸びていくとお考えですか?

    人材育成で大切にしているのは、当社の行動指針である 「熱くする × 人=真剣に本気で向き合う」 という姿勢です。人は、自分を大切に見てくれる存在に出会ったとき、成長へのスイッチが入ります。 相手の強みや可能性を丁寧に見つけ、それを言葉にして伝えること。失敗を責めず、挑戦を評価し、小さな成功体験を積み重ねられる環境を整えること。そして、“どうなりたいのか”を対話の中で一緒に探り、自ら成長していく力を引き出すことです。育成とは、技術を教えるだけではなく、その人の未来に真剣に寄り添い続けること。その姿勢こそが、人を大きく成長させる原動力になります。

  • 個々の成長と全体としての成長の重要度は、どのくらいの割合で考えていらっしゃいますか?

    個々の成長と組織全体の成長は、どちらかを優先するものではなく、切り離せない関係にあると考えています。個々の成長が会社の成長につながり、個々の成長なくして企業の発展はありません。社員一人ひとりが技術や人間力を伸ばすことで、会社が挑戦できる事業領域や価値提供の幅は着実に広がります。新たな専門性を身につけた人材が増えれば、より高度な工事や未経験分野にも踏み込む力が生まれ、組織の可能性が飛躍的に高まります。だからこそ会社としては、成長機会や挑戦の場を用意し、社員が自らの未来を描ける環境づくりに力を入れています。組織の成長は、個の成長が積み重なった結果としてのみ実現すると考えています。

  • 地域から信頼を得るために、「えひめさんさん物語」やインターンシップで意識していることは何ですか?

    地域から信頼を得るために意識しているのは、えひめさんさん物語やインターンシップを“地域の皆さんと一緒につくる場”として開く姿勢です。私たちは、地域の皆さんも巻き込みながら、ものづくりの魅力や工場の役割を共有することを大切にしています。とりわけ当社のオープンファクトリーは、私たちだけのものではなく、市民みんなの場所だと考えています。工場を開き、リアルな現場や社員の想いを誠実に伝えることで、学生にとっては学びの場に、地域にとっては誇れる場になる。地域に開かれ、地域に必要とされる企業であることが、信頼を築くうえで最も重要だと感じています。

  • 他社には真似できない、大石工作所さんだからこそ提供できる付加価値は何だと考えていますか?

    当社が提供できる最大の付加価値は、「人」によって生まれる総合力だと考えています。技術や設備だけではなく、プラントの特性を読み解く洞察力、現場で最適解を導く判断力、そして“真剣に向き合う姿勢”を持つ人材がそろっていること。これは他社が簡単に再現できません。また、80年以上の経験で蓄積した施工ノウハウと、人を中心に据えた理念経営が融合することで、単なる工事やメンテナンスに留まらず、「設備を最も良い状態で動かし続ける」という価値を提供できます。技術・人間力・理念が一体となった“人と現場の総合力”。これこそが、大石工作所にしかつくれない付加価値だと考えています。

  • 一貫施工体制で活動する中で、課題を感じている点はありますか?

    一貫施工体制は当社の強みである一方で、課題も明確に存在します。最大の課題は、設計・製作・施工・保全までを一気通貫で担うために、幅広い技術領域と人材が必要になることです。とくに若手育成や、分野横断の知識・経験をいかに早く身につけてもらうかは大きなテーマです。また、一貫体制だからこそ各部門の連携を強め、情報共有の質を高めなければ、全体最適が実現しません。逆に言えば、この課題を乗り越えた先に、他社が容易に真似できない圧倒的な価値が生まれると考えています。組織力と人材育成をさらに強化し、一貫施工体制のメリットを最大限に高めていきたいと思います。

  • 現在の事業で、課題に感じている点や改善を進めている部分はありますか?

    現在の事業で課題に感じているのは、技術の高度化やプラントの複雑化が進む中で、それに対応できる人材をどう育て、どう組織として連携を高めていくかという点です。若手の早期育成や、経験の属人化を防ぐナレッジ共有の強化は、継続的な改善テーマと捉えています。また、一貫施工体制をより強みとして発揮するためには、設計・製造・施工・保全の各部門がさらに密に連携し、情報をリアルタイムで共有できる仕組みが必要です。安全・品質・効率を高めるためのDXの推進や、コミュニケーションの改善にも取り組んでいます。課題は成長の余白であり、改善を重ねることで会社の未来を広げていきたいと考えています。

  • 人を大切にされていると感じますが、社員のやる気や成長を引き出すために意識していることはありますか?

    社員のやる気や成長を引き出すうえで大切にしているのは、まず「一人ひとりの存在をきちんと認めること」です。人は、評価よりも“理解されている”と感じたときに力を発揮します。そのため、強みや良い行動をできるだけ早く言葉にして伝え、挑戦したい気持ちを後押しすることを意識しています。また、当社の行動指針である 「熱くする×人=真剣に本気で向き合う」 を実践し、社員の悩みや目標に丁寧に寄り添うことで、安心して挑戦できる環境をつくっています。成長は押しつけるものではなく、引き出すもの。社員が「自分は必要とされている」と実感できる瞬間こそ、やる気の源泉になると考えています。

Q.
顧客・競合・協調関係(3C分析+C)
  • 会社をよくするために、「会社を変えられる人材」を求めるようになったきっかけは何ですか?

    会社をよくするために“会社を変えられる人材”を求めるようになった背景には、私自身が経営の現場で感じた強い実感があります。優秀な人材は、会社そのものを動かす力を持ち、その影響はとてつもなく大きい。 一人の挑戦や提案が、組織の価値観や仕組みを変え、事業の未来を左右するほどのインパクトを生み出します。理念経営を始めた頃、社員の主体的な行動が現場を変え、業務を変え、会社の雰囲気まで変えていく姿を目の当たりにしました。その経験から、受け身の人材ではなく、自ら未来をつくる意志を持った人こそが会社を成長させると確信しました。会社の可能性は、社員の可能性の総和です。

  • 主要顧客のニーズや要求は、最近どのように変化していますか?

    主要顧客のニーズは、この数年で確実に高度化しています。従来の「決められた工事を安全に確実に行う」ことに加え、現在は 設備の長寿命化、ライフサイクルコストの最適化、柔軟な動員力、そして高い提案力 が強く求められています。設備をより良い状態で長く使うための責任施工、故障を未然に防ぐ予兆管理、コスト低減につながる改善提案など、総合的な技術力が期待されています。また、大規模工事や緊急対応における動員力・調整力も重要性が増しており、現場と技術の双方から多角的に価値を提供できる力が必要とされています。顧客の要求は、安全に加え、長期的な経営視点での最適化へ確実にシフトしています。

  • HPに「お客様と共に満足や感動を共有する」とありましたが、具体的にはどのようなことですか?

    当社が大切にしている「満足」と「感動」には明確な定義があります。満足=期待通り、感動=期待以上。 お客様が心の中で少しだけ思い描いている“期待以上”の行動が、感動につながると考えています。その感動は、必ずしも大きなコストをかける必要はありません。整理整頓された現場、迅速なレスポンス、丁寧なコミュニケーション といった日々の基本行動こそが、お客様の想像を上回る価値になります。当社が大切にしているのは、“少しの期待以上で生まれる感動”。過剰品質ではなく、誠実さと配慮から生まれる感動こそ、お客様との信頼を深める原動力だと考えています。

  • 新規の顧客を増やすための取り組みは、何かされていますか?

    新規顧客の開拓では、行政や金融機関様からいただくマッチングの機会を大切にし、まずは トップセールスとして私自身が直接向き合うこと を重視しています。経営者が最初に訪問することで、お客様の課題や将来像を深く理解でき、信頼関係の土台が早く築けます。その後は、現場担当者へ確実にバトンを渡し、技術提案や日々のフォローを通じて関係性を継続的に深めていきます。こうした流れで トップセールスから現場へつなぎ、最終的にはルート営業として長期的な関係へ発展させる ことが当社のスタイルです。追いかけるのではなく、信頼を積み重ねて“選ばれ続ける会社”を目指しています。

  • 大石工作所さんでは、顧客企業との長期的な関係を築くうえで特に重視していることは何ですか?

    顧客企業との長期的な関係づくりで最も重視しているのは、安全と品質 を揺るぎない土台として守り抜くことです。どれだけ技術が進化しても、この二つを確実に提供し続けることこそ、信頼の源泉だと考えています。そしてもう一つ大切にしているのが 対話 です。工事を受ける側・発注する側という立場を超え、お客様の課題や不安、将来の計画まで丁寧に聞き、共に考える姿勢を徹底しています。そのうえで、設備の長寿命化やコスト最適化、安全性向上につながる提案を続けることで、単なる取引を超えたパートナー関係が築かれます。長期的な信頼は、特別なことではなく、安全・品質・対話の積み重ねから生まれるものだと考えています。

  • 長年取引しているお客様との信頼関係を保つために、どんな工夫をされていますか?

    長年お取引いただいているお客様との信頼関係を保つために大切にしているのは、特別な工夫よりも、基本の徹底です。まず、当社の根幹である 安全と品質を絶対に揺るがせないこと。そして、現場や担当者レベルでの対話を欠かさないことを重視しています。日々の小さな報告・相談・改善提案の積み重ねが、お客様との距離を縮め、安心につながります。また、工事が終われば関係も終わるのではなく、設備の状態を把握しながら長寿命化やコスト最適化につながる提案を継続的に行うことも大切にしています。信頼は、大きな成果よりも、“いつも変わらない姿勢”によって築かれるもの。お客様の期待通りではなく、期待以上 を少しずつ積み重ねることこそ、長いお付き合いをいただける理由だと考えています。

Q.
長期・短期のビジョン、計画、方針
  • 今後、地域や産業の発展に向けて、大石工作所さんが短期的・長期的に目指している方向性や取り組みがあれば教えてください。

    "短期的には、地域の産業を支える企業として、安全・品質を軸にした責任施工のレベル向上と、千葉工場を活かした新たな価値提供の拡大に取り組んでいます。また、若手育成やオープンファクトリーを通して、次世代のものづくり人材を地域に増やすことも重要な使命だと考えています。
    長期的には、プラント産業の普遍性を活かしながら、設備の長寿命化・省エネ化・環境対応といった分野で、地域の産業発展に貢献できる企業を目指しています。その基盤となるのは人の成長です。優秀な人材が育つことで、将来的には事業領域の拡大や社内ベンチャーなどの新たな挑戦も自然に生まれてくる。人を育て、地域と共に未来を広げていく企業でありたいと考えています。"

  • 今後5〜10年で、新しい市場や技術領域に進出する計画はありますか?

    現段階で具体的な内容をお話しすることはできませんが、新しい市場や技術領域への進出について、当社は確かな計画を持って取り組んでいます。プラントメンテナンスという安定した事業基盤を大切にしながら、新しい市場や技術を将来的に当社の核となる事業へと成長させていきたいと考えています。そのためにも、既存のプラントメンテナンス分野で着実に収益を積み上げ、財務基盤をより強固にすることが不可欠です。また、関東進出というチャレンジを通じて、社内体制の強化や協力会社、行政、金融機関との連携など、内外部環境の構築にも力を入れています。人と基盤を整えながら、次の成長につながる機会を着実に育てていきたいと考えています。

  • 新規事業として関東進出を挙げられていますが、それを超えるような今後の計画はあるのでしょうか?

    ご質問の新規事業を「プラントメンテナンス事業の関東進出」としたうえで、それを超える計画があるかという点については、明確に構想があります。 現段階で具体的な内容をお話しすることはできませんが、当社にとっては新たな市場にチャレンジする重要な戦略の一つです。そのためにも、短中期的にはプラントメンテナンスという安定した事業領域で確実に収益を積み上げ、財務基盤と人材基盤を強化することが前提になります。そのうえで、人の成長から生まれる新たな価値を事業として育て、将来の次の柱へとつなげていきたいと考えています。

  • SDGsに積極的な印象を受けたのですが、具体的な施策について教えてください。

    まず前提として、当社の87年にわたる歴史そのもの、そして日々の事業活動自体がSDGsへの取り組みだと考えています。設備を安全に長く使い続けるプラントメンテナンスは、資源の有効活用や環境負荷の低減につながり、持続可能な社会を支える仕事です。その中で、他社と異なる当社ならではの取り組みがオープンファクトリーです。ものづくりの現場や働く人の姿をオープンにすることで、地域の皆さんや次世代に産業の価値を伝えています。地域と一体となったこの取り組みが地域を元気にし、住み続けられるまちづくりにつながる。当社がその循環の中心となり、きっかけをつくることこそ、当社が考える実践的なSDGsへの貢献です。

  • これからの時代に、御社が目指す「ものづくり企業の理想の姿」はどのようなものですか?

    私が思う、これからの時代に目指すものづくり企業の理想の姿は、人とAIが役割を分かち合い、それぞれの強みを最大限に発揮している会社です。AIにはデータ処理や事務作業、予兆管理などを任せ、人は現場での判断力や創意工夫、対話といった、人間にしか生み出せない価値に集中する。その分業によって、働く人が本来の力を発揮できる環境をつくりたいと考えています。
    その中で忘れてはいけないのが、人の感動です。社員一人ひとりが「いきいきわくわく」しながら働き、自ら考え、挑戦し、成長していく。効率だけを追い求めるのではなく、人の感性や想いが活きる余白を残すことが、これからのものづくりには欠かせません。人とAIが共に進化し、働く人が主役であり続ける企業。それが当社の目指す理想の姿です。

  • 現場での技術継承がどのように行われているのか気になります。ベテランから若手への教え方などに工夫があれば教えてください。

    当社の技術継承で大切にしているのは、「教える」よりも「一緒に考え、体験する」ことです。ベテランが一方的に技術を伝えるのではなく、若手に目的や背景を説明し、「なぜこのやり方なのか」を対話の中で共有します。現場ではOJTを基本とし、作業前後の振り返りを重ねることで、経験を知恵として定着させています。また、若手が失敗を恐れず挑戦できるよう、ベテランが必ずそばで支え、成功体験につなげることを意識しています。技術は人から人へしか伝わりません。だからこそ、技術力と同時に人間関係や信頼を育てることが、最も重要な継承の仕組みだと考えています。

  • HPの人材育成に関して、「社員一人の資格取得プランを10年計画で立案」とありますが、その10年計画の内容について教えてください。

    当社の10年計画の資格取得プランは、会社が示す推奨資格のモデル取得計画を参考にしながら、社員一人ひとりが将来目指す姿を見据えて自由に設計できる点が大きな特徴です。入社後から10年先までを見据え、「どんな技術者に、どんな人になりたいか」を本人と共有しながら個別に計画を立てています。自由度が高いため、成長意欲の高い社員の中には、想定よりも早いペースで資格を取得していくケースもあります。現場経験と並行して資格取得を進め、専門性を高めながら、人間力のある人材へと成長してもらう構想です。会社が一方的に決めるのではなく、対話を通じて本人の意思や適性を反映し、「自分の技術と成長に誇りが持てる」状態をつくることが、この取り組みの本質です。

  • 目標で「男女の育児休業・出生時育児休業取得率100%」を掲げていましたが、具体的にはどのような活動をされているのでしょうか?

    男女ともに育児休業・出生時育児休業を100%取得できている背景には、「制度を整えること」と「取得しやすい空気をつくること」の両方を大切にしてきたことがあります。具体的には、対象者が出た段階で上司や人事から早いタイミングで声をかけ、取得することが当たり前であるというメッセージを明確に伝えています。また、業務の属人化を防ぎ、チームでカバーできる体制づくりを進めることで、周囲の負担感を減らす工夫も行っています。管理職自身が制度への理解を深め、前向きに送り出す姿勢を持つことも重要です。大切な育児の期間を個人の問題ではなく、会社全体で支える。そうした考え方が浸透した結果、現在は男女ともに100%の取得につながっています。

  • 10年後、大石工作所さんはどんな姿を目指していますか?そのために今、どのような準備を進めていますか?

    10年後の大石工作所は、四国と関東の両エリアでプラントメンテナンス事業を安定的に展開し、売上や社員数といった規模も現在の倍程度に成長している姿を目指しています。その土台となるのは、安全・品質を軸にした責任施工と、人を中心に据えた経営です。加えて、新規事業の立ち上げや社内ベンチャーが自然に生まれるような、オーナーシップを持った人材育成にも力を入れています。また、オープンファクトリーを通じて地域と一体となり、開かれた企業であり続けたい。社員一人ひとりが会社に自信と誇りを持ち、「いきいきわくわく」働けること。それが10年後に実現したい、大石工作所の姿です。

  • “変化に対応する”ことと“ぶれない方針を持つ”ことの両立は難しいと思いますが、大石工作所さんではどう実現されていますか?

    当社では、内外部環境がどれだけ変化しても決してブレない方針を「理念」として定めています。理念は判断の軸であり、時代が変わっても変えてはいけないものです。その一方で、理念を実現するための行動は柔軟であるべきだと考えています。理念の中にある行動指針「行動する×環境=世の中の変化に対応する」は、その考え方を象徴しています。環境の変化を正しく捉え、自ら動くことで価値を生み出す。AIやDXの活用、新たな事業への挑戦もその延長線上にあります。理念という不変の軸があるからこそ、私たちは変化を恐れず挑戦できる。ぶれない理念と柔軟な行動、この両立こそが当社の強みです。

  • 大石工作所さんが目指している「将来的な理想の姿」や「企業像」はどのようなものですか?

    当社が目指している将来的な理想の姿は、「人が主役であり続けるものづくり企業」です。安全・品質を軸にした責任施工を通じて社会インフラを支えながら、社員一人ひとりが誇りとやりがいを持って働ける会社でありたいと考えています。また、四国と関東の両エリアで事業を安定的に展開し、新たな事業や社内ベンチャーが自然に生まれるような、挑戦が当たり前の企業文化を育てていきたい。その根底にあるのは理念経営と人本経営です。地域に開かれ、次世代に価値をつなぎ、社員が「この会社で働けて良かった」と心から思えること。それこそが、大石工作所の目指す企業像です。

Q.
求める人材・働きがい・人材教育・男女共同参画
  • 御社では「若いうちから挑戦し、失敗も経験して成長したい」という志向に非常に合致すると思うのですが、失敗をどう捉えており、失敗から学ぶ制度や雰囲気について教えてください。

    挑戦のないところに成長はなく、若いうちから失敗を経験すること自体が大きな財産になります。当社で大切にしているのは、人を責めずに仕組みを責めるという考え方です。失敗そのものを問題にするのではなく、「なぜそうなったのか」「次にどう活かすか」を皆で考えることを重視しています。現場では作業後の振り返りや対話を大切にし、上司や先輩が自身の経験も共有しながら、学びとして次につなげています。また、失敗しても再挑戦できる雰囲気づくりを意識し、結果だけでなく挑戦した姿勢そのものを評価する文化を育ててきました。失敗は隠すものではなく、成長のきっかけ。そう捉えることで、社員が安心して挑戦できる環境が生まれていると感じています。

  • 女性の雇用を増やそうとしている理由は何ですか?

    当社では、「女性の雇用を増やすこと」そのものを目的にしているわけではありません。大切にしているのは、男性・女性を問わず、一人ひとりの能力や特性が最も活かされる仕事と労働環境を整えることです。ものづくりの現場やバックオフィス、技術支援や管理業務など、役割は多様化しており、性別ではなく適性で仕事を考える時代だと感じています。そのために、柔軟な働き方や育児と仕事の両立支援、職場環境の改善を進めてきました。結果として、女性が活躍できる場面が自然と広がっている。多様な視点や価値観が組織に加わることで、会社全体の力も高まると考えています。

  • 社員の方々がやりがいを持って働けるように、また若手や女性も活躍できる職場づくりのために、どのような取り組みをされていますか?

    社員がやりがいを持って働ける職場づくりで大切にしているのは、性別や年齢に関係なく、一人ひとりの強みや意欲が正しく活かされる環境を整えることです。若手には早い段階から現場での経験や挑戦の機会を与え、失敗も成長の糧として受け止める文化を育てています。また、女性を含め多様な人材が安心して力を発揮できるよう、業務の分業やサポート体制の見直し、柔軟な働き方の整備にも取り組んできました。重要なのは、「一人ひとりに合った働き方や役割を考える会社を、社員全員でつくっていくこと」。社員が自分の仕事に誇りを持ち、「この会社で成長できる」と実感できる職場を目指しています。

  • 人間力の向上を目的とした人材育成は、どのような取り組みを通じて実現していますか?

    当社が考える人間力の向上とは、単なる技術力の延長ではなく、「考える力」「向き合う姿勢」「人との関係性を築く力」を磨くことです。日々の現場での対話や振り返りを通じて、結果だけでなくプロセスや姿勢に目を向け、なぜそう考え、どう行動したのかを言葉にすることを大切にしています。こうした積み重ねが、自分の仕事を自分事として捉える力につながります。また、若手のうちから現場やプロジェクトを任せ、挑戦と失敗を経験させることで、オーナーシップやアントレプレナーシップが育ちます。人間力の向上とは、任され、考え、挑戦する中で自ら会社の枠を広げていく力を育むこと。その土壌をつくることが、当社の人材育成の本質です。

  • 「人を大事にするとビジネスで勝つことができる」ということに、どうやって気づくことができたのですか?

    多くの企業が「人が大事だ」と理解していると思います。ただ、本当に重要なのは、それをどう捉え、会社の制度や仕組みに落とし込めるかです。人の価値やエンゲージメントといった定性的なものは見えにくいため、後回しにされがちですが、私はそれを可視化し、潜在化している問題や課題を顕在化させ、具体的にアプローチしていくことこそが、ビジネスで勝ち続ける力になると考えています。現場での対話や人事制度、いきいきわくわくの取り組みは、そのための手段です。人に真剣に向き合い、組織として仕組みに落とし込む。この考え方は、これまでの人生の中で、人との関わり方やスポーツ、そして経営の現場を通じて培ってきた確かな実感です。

  • 若い人や未経験の人が働くうえで、特に大切にしてほしいことは何だと思いますか?

    若い人や未経験の人に特に大切にしてほしいのは、目の前の出来事を「そこで終わらせない力」です。うまくいった時も失敗した時も、もう一歩深く踏み込み、「なぜそうなったのか」「次はどうするのか」を自分に問い続けてほしい。答えを誰かにもらうだけでは成長は頭打ちになります。
    そして、最も大切なのは実行力です。考えたことをそのままにせず、すぐに着手し、やり切ること。自問自答し、仮説を持ち、現場で試し、振り返る。この仮説・検証の反復が技術だけでなく人間力を育てます。分からないことは素直に聞き、学びを自分の言葉で整理する。すぐやる実行力は、どの職種でも一生の武器になります。

  • 目に見えにくい努力や成果を評価し、従業員のモチベーション向上につなげるための具体的な仕組みはありますか?

    当社では、日々の対話を軸に、目に見えにくい努力や前向きな行動を認知し、評価につなげる仕組みを大切にしています。現場では安全への気配りや周囲への配慮、改善に向けた姿勢など、業務に向き合うプロセスを上司が日常的に見取り、言葉にしてフィードバックします。評価面談では結果だけでなく、キャリアプランシートを用いて「何を考え、何を実行してきたか」を本人と振り返り、成長の過程を共有します。こうした対話の積み重ねが、影の努力を可視化し、最終的に成果や結果へとつながっていく。努力が正しく見てもらえる実感が、次の挑戦へのモチベーションになっていると感じています。

  • 職場の雰囲気作りで、一番大切にしていることは何ですか?

    職場の雰囲気づくりで一番大切にしているのは、「安心して本音を話せる空気」をつくることです。良いことも課題も、立場や年齢に関係なく言葉にできなければ、組織は前に進みません。そのために、日々の対話を重視し、意見や挑戦を否定せず受け止める姿勢を大切にしています。また、失敗を責めるのではなく、学びに変える文化を根づかせることで、挑戦しやすい雰囲気が生まれます。安心感があるからこそ、互いを思いやり、自然と助け合いが生まれる。そうした土台の上に、いきいきわくわく働ける職場が成り立つと考えています。

  • 働いていて成長を感じられる時は、どんな時ですか?

    働いていて成長を感じられるのは、できなかったことができるようになった瞬間だけではありません。自分の仕事の意味が分かり、周囲やお客様の立場を考えて行動できるようになった時に、成長を実感する人が多いと感じています。指示を待つのではなく、自ら考え、判断し、行動した結果が現場やチームに良い影響を与えた時、その経験は大きな自信になります。また、部下や後輩に教えられることが増えたと感じた時も、確かな成長の証です。自分の存在が会社や組織に良いインパクトを与えていると実感できること。成長とは、技術の習得だけでなく、仕事への向き合い方や視野が広がっていく過程そのものだと思います。

  • ホームページの「当社の課題」として、「採用者に占める女性割合が低い雇用管理区分がある」とありましたが、女性活躍のための具体的な取り組みや成果があれば教えてください。

    当社では、現場工事の特性上、体力面などから女性に向きにくい業務があることは事実だと捉えています。一方で、それは「活躍できる場が限られる」という意味ではありません。設計支援、品質管理、工程管理、事務・DX推進、採用・広報など、女性が強みを発揮できる領域は確実に広がっています。そうした分野で役割を明確にし、業務の切り分けやサポート体制を整えることで、安心して働ける環境づくりを進めてきました。また、育児休業の男女100%取得や柔軟な働き方の整備もその一環です。結果として、現場以外の分野で女性の定着や活躍が進み、組織全体の視点や働き方の幅が広がっていると感じています。

  • OISHIBASEのワークショップなどに興味を持ちましたが、全員参加型の経営をしようと思ったきっかけがあれば教えてください。

    全員参加型の経営を志したきっかけは、会社を良くしたいという想いを、役職や立場に関係なく、現場の一人ひとりが持たなければ、私が目指す場所にはたどり着けないと気づいたからです。トップや一部の管理職だけで考えた施策には限界があり、一方通行では現場の細部にまで届きません。OISHIBASEのワークショップは、若手からベテランまで社員全員の声を引き出し、対話を通じて形にする場として生まれました。意見を言える、聞いてもらえる、反映される。その実感が主体性を育み、組織を有機的に動かしていきます。全員が主役となり、自分たちの会社を自分たちでつくっていく。その土台づくりこそが、全員参加型の経営だと考えています。

  • 女性のいない、又は少ない職種により多くの女子学生の応募が得られるような取り組みをされているとのことですが、それについての課題はありますか?

    女性の少ない職種に女子学生の応募を増やす取り組みを進める中で、課題も感じています。一つは、「仕事内容のイメージ」が十分に伝わっていないことです。現場工事という言葉だけで、体力的に厳しい、男性中心といった先入観を持たれてしまうケースもあります。もう一つは、ロールモデルの少なさです。実際には活躍できる場があっても、身近にイメージできる存在がいないと、一歩を踏み出しにくい。だからこそ、業務の切り分けや働き方の工夫を進めると同時に、オープンファクトリーやインターンシップを通じて、リアルな仕事や人の姿を伝えることを重視しています。課題に正面から向き合いながら、選択肢を広げていきたいと考えています。

  • パンフレットを見て、社員同士がとても仲がよさそうに見えましたが、その信頼関係を築く秘訣は何ですか?

    社員同士の信頼関係を築くうえで一番大切だと考えているのは、Mission・Vision・Valueを共有し、日常の対話を通じて共感を深めることです。仕事の中で意見がぶつかることはあっても、目指す方向が同じであれば、対話によって必ず前向きな議論になります。また、現場では立場や年齢に関係なく声をかけ合い、困った時には自然と助け合う文化を大切にしています。失敗を責めるのではなく、次につなげる姿勢があるからこそ、安心して頼れる関係が生まれる。社員同士が仲が良さそうに見えるのは、単なる雰囲気ではなく、互いを信頼し、尊重し合う関係性が日々の仕事の中で積み重なり、共鳴している結果だと思っています。

  • 組織マネジメントに関して、従業員のエンゲージメントを維持・向上するために行なっている取り組みは何かありますか?

    当社では、社員のエンゲージメント向上を「社員の幸福感を高める経営」と捉え、「安心感・連帯感・熱中感・成長感・重要感」の五感を社員が実感できているかを常に意識しています。キャリアプランシートを通じて、一人ひとりの価値観や目指す姿を共有し、対話の中で仕事の意味づけを行っています。また、エンゲージメントを可視化することで、組織の状態や潜在的な課題を把握し、いきいきわくわくプロジェクトなどの全員参加型の取り組みにつなげています。社員が「大切にされている」「自分の存在が必要とされている」と実感できること。その積み重ねこそが、エンゲージメントを維持・向上させる原点だと考えています。

  • 新入社員が成長するために必要なことは、何だと思いますか?

    新人社員が成長するために何より大切なのは、常に素直さと謙虚さ、そして感謝の心を持ち続けることだと思います。知識や経験は後からいくらでも身につきますが、学ぼうとする姿勢がなければ成長は止まってしまいます。目の前で起きるあらゆることを自分への試練と受け止め、自己投資を惜しまないこと。20代でかいた汗や流した涙の量によって、その後の人生やキャリアは大きく変わると言っても過言ではありません。最初はぼんやりで構いませんので、自分なりの将来イメージを描き、目の前のタスクに真剣に向き合っていく。そうして積み重ねていくうちに、描いていた未来が少しずつ形になり、やがて色づいていくのだと思います。

  • 「人を大事にする経営方針」が、技術向上にどのように貢献していると感じますか?

    プラントメンテナンス事業における技術や技能は、設備やマニュアルに付くものではなく、すべて人に付くものだと考えています。現場で培われる判断力、経験に裏打ちされた勘、細部への気づきは、人の中にしか蓄積されません。だからこそ、行き着く先は必ず「人を大事にする経営」になります。人が安心して働き、挑戦し、学び続けられる環境があって初めて、技術は磨かれ、継承されていく。人を消耗させる現場では、技術も必ず衰退します。人への投資こそが、プラントメンテナンス事業における技術力そのものだと実感しています。

  • 「全員参加型の経営」を意識されているとお聞きしましたが、具体的に社員の意見や提案を聞き、取り入れるための工夫をされていますか?

    全員参加型の経営を実現するために、当社では意識的に社員の声を聞く場を数多く設けています。定期的なキャリア面談やOne on Oneミーティングでは、業務の進捗だけでなく、考えていることや感じている課題を率直に話してもらいます。また、いきいきわくわくプロジェクトでは、部署や役職を越えて社員が集まり、会社をより良くするための意見や提案を形にしています。社内イベントも、単なる交流の場ではなく、普段言葉にしづらい声が自然と出てくる大切な機会です。こうした対話の積み重ねを通じて、社員の意見を経営や仕組みに反映させ、全員が当事者として会社づくりに関わる環境を整えています。

  • 女性社員を増やすための取り組みなどは行っていますか?

    当社では、「女性社員を増やすこと」そのものを目的にした取り組みは行っていません。大切にしているのは、性別に関係なく、一人ひとりの能力や意欲が発揮できる仕事や環境を整えることです。その結果として、女性が活躍できる場が自然と広がっていくと考えています。具体的には、業務の切り分けや分業を進め、設計支援、品質管理、事務、DX推進、広報など、多様な役割を明確にしています。また、育児休業の男女100%取得や柔軟な働き方の整備を通じて、安心して長く働ける環境づくりにも力を入れてきました。性別ではなく適性で役割を考える。その積み重ねが、結果として女性社員の活躍につながっていると感じています。

  • 社員みんなが楽しみ、幸せを実現するために重要視していることは何ですか?

    社員みんなが楽しみ、幸せを実感できる会社にするために一番大切にしているのは、「一人ひとりが自分の存在価値を感じられること」です。人は、認められ、必要とされていると実感できたときに、前向きに力を発揮します。そのために、日々の対話を通じて想いや価値観を共有し、挑戦や努力をきちんと見て、言葉にして伝えることを大切にしています。また、仕事だけでなく、人としての成長や人生にも向き合える環境づくりを意識しています。社員が安心して挑戦し、成長を楽しめること。その積み重ねが、働くことの楽しさや幸せにつながると考えています。

  • 工場見学やインターンシップを積極的に受け入れていらっしゃいますが、若手人材の育成や地域との交流において、どのような効果を期待されていますか?

    工場見学やインターンシップを積極的に受け入れているのは、若手人材の育成と地域との関係づくりを同時に進めたいと考えているからです。若い世代には、実際の現場や働く人の姿に触れることで、仕事のリアルやものづくりの価値を感じてもらいたい。体験を通じて自分の将来を考えるきっかけになればと思っています。また、地域の皆さんに会社を開くことで、企業活動への理解や信頼が深まり、地域と共に育つ関係が生まれます。人材育成も地域交流も、一過性ではなく長く続く循環をつくること。その積み重ねが、会社と地域双方の未来につながると考えています。

  • 会社を良くする提案ができる人材を求めているとのことですが、実際に社員からどのような提案があって、どのように会社が変わりましたか?

    当社では、いきいきわくわくプロジェクトを通じて、社員から多くの実践的な提案が生まれています。例えば、若手社員の育成に関しては、「業務の振り返りが属人的になっている」という声から、日々の業務レポートをIT化する提案がありました。これにより、上司との共有やフィードバックがスムーズになり、成長のスピードが上がっています。また、ISOマニュアルが分かりにくいという課題に対しては、生成AIを活用したチャットボットを作成し、必要な情報をすぐに引き出せる仕組みを導入しました。いずれも現場の困りごとから生まれた提案です。社員の声を形にすることで、会社は確実に使いやすく、働きやすく変わってきたと実感しています。

  • 人材育成において「心」を大事にされているとのことですが、どのように育んでいるのですか?

    人材育成において私たちが大切にしている「心」とは、技術以前に仕事や人にどう向き合うかという姿勢です。そのために、日々の現場での対話や振り返りを何より重視しています。結果だけでなく、そこに至るまでの考え方や行動、葛藤にも耳を傾け、「どう感じたのか」「次にどうしたいのか」を言葉にする機会を多く設けています。また、いきいきわくわくプロジェクトやキャリア面談を通じて、自分の価値観や想いと向き合う時間をつくり、主体性を育んでいます。心は教え込むものではなく、真剣に向き合われた経験の中で育つもの。人と人が本気で向き合う日常の積み重ねこそが、心を育む一番の場だと考えています。

  • 経営に社員も参加するとのことでしたが、経営を勉強していない人にも身につけてもらうために、どのような工夫をしていますか?

    当社では、経営を特別な人だけのものにせず、現場で働く全員が「経営の視点」に触れることを大切にしています。経営を勉強していない社員でも理解できるよう、階層別のリーダーシップ研修を通じて、数字や計画の話だけでなく、「なぜその判断をするのか」「会社全体にどんな影響があるのか」といった考え方を共有しています。また、社内ワークショップでは社員自身がファシリテーターを務め、課題整理や意思決定のプロセスを体験します。学ぶよりも「使ってみる」ことで、経営やマネジメントを自分事として捉えられるようになる。その積み重ねが、全員参加型の経営につながっていると感じています。

  • 若手を育成するときに、何を重視していますか?

    人を育成するうえで最も重視しているのは、技術や知識よりも「仕事や人にどう向き合うか」という姿勢です。最初から完璧を求めることはせず、素直に学び、挑戦し、失敗から学び取る力を育てたいと考えています。そのため、早い段階から現場を任せ、自分で考え、判断し、行動する経験を積んでもらいます。大切にしているのは、結果だけで評価するのではなく、そこに至るプロセスや努力をしっかり見て対話することです。若手のうちに「自分は期待されている」「向き合ってもらっている」と感じられることが、成長のスピードを大きく高める。そうした関わり方を意識しています。

  • 技術力や経験よりも、人として重視している資質や姿勢はありますか?

    技術力や経験以上に重視しているのは、「人としてどう在るか」という姿勢です。具体的には、素直さ、謙虚さ、そして感謝の心。この三つがあれば、技術や知識はいくらでも後から身についていきます。また、分からないことを分からないと言える勇気や、人の意見を受け止める柔軟さも大切です。仕事は一人では完結せず、人との信頼関係の上に成り立っています。だからこそ、自分本位ではなく、相手や周囲のことを考えて行動できるかどうかを見ています。人としての姿勢が整っていれば、困難な場面でも学びに変え、成長し続けることができる。その人間形成こそが、長く活躍できる人材の条件だと考えています。

  • 大石工作所さんが“この人と一緒に働きたい”と思う人材は、どんな特徴を持っていますか?

    私が「この人と一緒に働きたい」と思うのは、行動に移すのが早く、最後までやり切る人です。考えるだけで終わらせず、まず動き、途中で壁にぶつかっても投げ出さない。そうした姿勢が信頼を生みます。また、前向きに物事を捉え、人を巻き込みながら進められることも大切です。仕事は一人では完結しません。周囲と力を合わせる中で、より大きな価値が生まれます。そしてもう一つ重視しているのは、うまくいかない時に人や環境のせいにしないこと。自分に何ができたかを考えられる人は、必ず成長します。シンプルですが、こうした姿勢を持つ人と、これからも一緒に働いていきたいと思っています。

  • 技術や知識だけでなく、“考える力”や“人間力”を育てるために意識していることはありますか?

    技術や知識を身につけることは大切ですが、それ以上に意識しているのは、「自分で考える力」と「人としてどう向き合うか」という人間力を育てることです。そのために、答えをすぐに与えるのではなく、「なぜそう思うのか」「他に選択肢はないか」と問いかける関わり方を心がけています。また、仕事の結果だけでなく、そこに至るまでの考え方や行動、姿勢にも目を向け、振り返りの対話を大切にしています。人間力は、失敗や葛藤、人との関わりの中で磨かれていくものです。真剣に向き合われた経験がある人ほど、自分で考え、周囲を思いやり、成長し続けられる。そうした環境をつくることが、経営の役割だと考えています。

  • 女性の待遇について明記されていましたが、今後どのような待遇を増やしていくなどの考えはありますか?

    当社では、女性だから特別な待遇を増やすという考え方はしていません。大切にしているのは、性別に関係なく、一人ひとりが能力を発揮し、安心して働き続けられる環境を整えることです。そのために、柔軟な働き方や育児・介護と仕事を両立しやすい制度の充実、業務の分業や負荷の平準化を進めてきました。また、キャリア形成についても、本人の意思やライフステージに合わせた対話を重ね、役割や成長の機会を設計しています。一方で、女性特有の体調やライフイベントへの配慮は必要だと考えており、フェムテックの活用など、安心して働ける環境整備も今後検討していきます。「女性向け」「男性向け」と分けるのではなく、多様性を前提に、誰もが長く活躍できる職場を目指しています。

  • 若手社員が働きやすい環境を作るうえで、特に大事にしていることは何ですか?

    若手社員が働きやすい環境をつくるうえで、特に大事にしているのが心理的安全性です。分からないことを素直に聞ける、意見や提案を言っても否定されない、失敗しても次にどう活かすかを一緒に考えてもらえる。そうした安心感があって初めて、人は挑戦し、成長できます。そのために、日々の対話を重視し、立場や年齢に関係なく声をかけ合う文化を大切にしています。結果だけで評価するのではなく、プロセスや姿勢にも目を向けることで、「挑戦していい」というメッセージを伝え続けています。心理的安全性は甘さではなく、成長と成果を生むための土台だと考えています。

  • 大石工作所さんが採用や育成で重視している人物像を教えてください。

    当社が採用や育成で重視しているのは、能力や経験も大事ですが、「人としての姿勢」です。具体的には、素直さ、謙虚さ、そして感謝の心を持ち、自ら考えて行動できる人。分からないことを分からないと言え、失敗を人や環境のせいにせず、次にどう活かすかを考えられる人です。また、考えるだけで終わらせず、すぐに動き、最後までやり切る実行力も大切にしています。仕事は一人では完結しませんので、周囲を巻き込み、前向きに取り組めることも重要です。こうした姿勢を持つ人であれば、技術や知識は後から必ず身につき、長く成長し続けられると考えています。

Q.
その他
  • 御社で活躍されている女性の特徴は何ですか?

    当社で活躍している女性に共通しているのは、「自分の強みを理解し、前向きに仕事と向き合っていること」です。学び続ける姿勢と、任された仕事を最後までやり切る責任感を持っています。また、周囲とのコミュニケーションを大切にし、気配りや視点の違いを仕事に活かせる点も大きな強みです。それぞれの立場で役割を自分事として捉え、着実に成果を積み重ねています。加えて、必要なことを堂々としっかり論理的に伝えられる点も共通しています。そうした姿勢が自然と信頼につながり、活躍の場を広げていると感じています。

  • 御社の中で「自分だからできた仕事/存在価値を生み出せた」と感じる社員の事例があれば教えていただけますか?

    当社では、「自分だからできた仕事」を生み出している社員が数多くいます。例えば、若手社員が日々の業務の中で感じていた小さな違和感をもとに、作業手順や報告の仕方を見直し、現場全体の効率や安全性を高めたケースがあります。また、現場経験を積んだ社員が、後輩の目線に立って教え方を工夫し、チーム全体の技術力向上につなげている例もあります。共通しているのは、与えられた役割をこなすだけでなく、「どうすればもっと良くなるか」を自分事として考え、行動していることです。そうした姿勢そのものが、その人ならではの存在価値であり、会社の力になっていると感じています。

  • オープンファクトリーなどの取り組みを通じて、地域をどのようにより良くしていきたいですか?

    オープンファクトリーを通じて目指しているのは、会社と地域の間にある垣根をなくし、「産業が身近に感じられる地域」をつくることです。工場や働く人の姿をオープンにすることで、子どもたちや学生、地域の方々に、ものづくりの価値や仕事の魅力を知ってもらいたいと考えています。それが将来、地域で働く選択肢を広げるきっかけになれば嬉しい。また、地域の皆さんが気軽に立ち寄れ、誇りに思える場所になることで、街への愛着やつながりも生まれます。企業が地域に開かれ、地域と一体となって人を育て、未来をつくっていく。その循環をつくることが、私たちの目指す地域との関わり方です。

  • 提案を実施するときに、失敗などのリスクについては考えませんか?

    提案を実施する際に、失敗を全く考えないということはありません。むしろ当社では、最初から様々なケースを想定したうえで提案することを大切にしています。うまくいった場合だけでなく、想定通りに進まなかった場合に何が起こり得るのか、どう立て直すのかまで考える。そのプロセス自体が、提案の質を高めます。また、提案は一方通行ではなく、お客様との対話を重ねながら確認し、すり合わせていくことを重視しています。ただし、失敗を恐れて動かないことはしません。リスクを理解したうえで一歩踏み出し、実行しながら修正していく。考え抜いた提案を現場で磨き上げていくことが、最終的により良い成果につながると考えています。

  • 将来的に挑戦したい新しい分野や製品はありますか?

    将来的には、これまで強みとしてきたものづくりやプラントメンテナンスに加え、設計分野にも挑戦していきたいと考えています。施工や保全の現場で培ってきた知見を設計に反映できれば、より実用的で価値の高い提案が可能になるはずです。現場を知っているからこそ描ける設計があると思っています。また、個人的な想いとしては、海外の現場で仕事をしてみたいという気持ちもあります。国や文化が違っても、プラント産業やものづくりの本質は共通する部分が多い。そうした環境に身を置くことで、新たな視点や成長の機会を得られると考えています。人と技術を軸に、挑戦のフィールドを広げていきたいですね。

  • 事業理念は、創業以来ずっと変わっていないのですか?

    当社の事業理念は、形としては2011年に私が策定しましたが、その根底にある想いは創業以来変わっていません。創業者が大切にしてきた考え方や価値観を、時代に合わせて明文化したのが現在の理念です。当社の理念は、「事業精神・経営理念・企業理念・使命・行動指針」の五つで構成されています。上位にある事業精神や経営理念は、事業を取り巻く環境が変わっても決して変わらない、普遍的なものです。一方で、企業理念や使命は、社会や産業の変化に応じて進化していくものだと考えています。理念の軸は変えずに、役割や表現を時代に合わせて磨き続ける。それが当社の理念経営です。

  • 技術だけでなく、人として成長できる教育制度はあるのですか?

    当社には、技術だけでなく「人として成長する」ことを目的とした教育があります。大切にしているのは、知識を教え込む研修よりも、日々の仕事を通じて人とどう向き合い、どう考え、どう行動するかを学ぶことです。現場での対話や振り返り、キャリア面談を通じて、自分の価値観や姿勢と向き合う機会を多く設けています。また、いきいきわくわくプロジェクトや社内ワークショップでは、立場を越えて意見を交わし、会社や仲間のために考える経験を積みます。人間力は研修だけでは育ちません。真剣に向き合われ、任され、挑戦する日常の積み重ねこそが、人としての成長につながると考えています。

  • 過去または現在実施しているプロジェクトの中で、やりがいを感じたものはどれですか?

    過去から現在に至るまでで特にやりがいを感じているプロジェクトは、「えひめさんさん物語」をきっかけに始まり、今も継続しているオープンファクトリーです。工場という閉じられがちな場所を地域に開き、ものづくりの現場や働く人の姿を直接見てもらうことで、多くの方に新たな気づきや驚きを届けることができました。一過性のイベントで終わらせず、「また来たい」「ここで働く人たちに会いたい」と思ってもらえる場に育ってきたことに、大きな手応えを感じています。これからはさらに、地域や次世代との接点を広げ、人づくり・街づくりにつながる取り組みへと進化させていきたいと考えています。

  • 従業員にとって働きやすい環境づくりを行っているとのことですが、実際どれくらい目標を達成していますか?

    従業員にとって働きやすい環境づくりについては、「十分達成できている」とは考えていません。みんながいきいきわくわく働ける労働環境の実現を目指し、一つひとつ消去法で課題を解決してきた実感はありますが、まだ積み残している課題も多くあります。事業の拡大や若手社員の増加、技術やIT・AIの進化、新しい価値観の広がりなど、環境は次から次へと変化します。その変化に合わせて、働きやすさの定義そのものも更新し続ける必要があります。だからこそ現状に満足せず、自問自答を繰り返し、社員との対話を重ねながら、より良い環境をつくり続けていく。働きやすさは永遠に未完成です。そのプロセスこそが、当社の目指す姿だと考えています。

  • 大石工作所で働く上で、一番やりがいを感じる瞬間はどんな時ですか?

    当社で働くうえで一番やりがいを感じる瞬間は、自分の仕事が誰かの役に立ち、世の中を支えていると実感できた時です。プラントは社会インフラを支える存在であり、その安全・安定操業に関われること自体が大きな誇りだと思います。現場で仲間と知恵を出し合い、困難な課題を乗り越えた瞬間や、お客様に満足していただいた時の達成感は、何ものにも代えがたいものです。また、後輩が成長し、自分の背中を見て一歩前に進んでいる姿を見た時にも、大きなやりがいを感じます。
    私自身は、社員一人ひとりの成長が積み重なり、会社の売上や規模、挑戦できるステージが一段上がったと実感できた時に最も達成感を覚えます。仕事を通じて人と社会に良い影響を残せること。それが当社で働く最大のやりがいだと考えています。

  • オープンファクトリーを地域の人や若い世代に開かれた場にしていくために、大石工作所さんの独自の取り組みとして取り入れてみたいことや、挑戦したいことはありますか?

    オープンファクトリーをより開かれた場にしていくために、当社単独の取り組みにとどめず、同業他社や行政、金融機関、学生、地域の皆さんを巻き込んだ共創型のイベントに挑戦したいと考えています。例えば、業界横断での工場公開や仕事体験、学生と企業が対話する場、地域課題をテーマにしたワークショップなどです。企業の垣根を越えて産業の魅力や社会的価値を伝えることで、若い世代の選択肢を広げ、地域全体の活力につなげたい。オープンファクトリーを「会社の取り組み」から「地域の文化」へ進化させる。その中心に当社が関わり続けたいと考えています。

  • どのような人材がこの業界に向いていますか?

    この業界に向いているのは、特別な才能を持った人よりも、「仕事に誠実に向き合える人」だと思います。プラントやものづくりの仕事は、一つひとつの積み重ねが安全や品質に直結します。そのため、分からないことを素直に聞き、基本を大切にし、最後までやり切る姿勢が何より重要です。また、現場では予期しないことも起こりますので、状況を冷静に捉え、周囲と対話しながら柔軟に対応できる力も求められます。人の命や社会インフラを支えているという責任感を前向きに受け止め、「自分の成長が誰かの役に立つ」と感じられる人にとって、この業界は大きなやりがいのあるフィールドだと思います。

  • いきいきわくわくプロジェクトを行おうと思った経緯は何ですか?

    いきいきわくわくプロジェクトを始めたきっかけは、「会社を本当によくしていくには、社員一人ひとりが主役にならなければならない」と強く感じたからです。トップや一部の管理職だけが考えて決める経営には限界があり、現場で働く人の想いや違和感を拾い上げなければ、会社は前に進まない。そう気づいたことが原点です。社員がいきいきと、わくわくしながら働けているかを可視化し、課題を表に出し、全員で向き合う。そのプロセスそのものが人を育て、組織を強くすると考えました。いきいきわくわくプロジェクトは、制度や施策ではなく、「全員参加で会社をつくる文化」を根付かせるための挑戦です。

  • 女性社員はどのような仕事をして、どのような場面で活躍していますか?

    当社の女性社員は、主に総務・購買・業務・人事・経理といった間接部門で活躍しています。日々の業務を正確に回すだけでなく、現場や協力会社との調整、情報整理、仕組みづくりなど、会社全体を支える重要な役割を担っています。特に、細やかな気配りや多角的な視点を活かし、業務改善やコミュニケーションの円滑化に貢献している場面が多く見られます。また、数字やルールを扱う仕事においても責任感を持って取り組み、会社の信頼性や安定経営を下支えしています。表に出にくい部分ですが、女性社員の存在が、現場が安心して仕事に集中できる環境をつくっていると感じています。

  • ものづくりの世界で“人にしかできないこと”は何だと思いますか?

    ものづくりの世界で“人にしかできないこと”は、状況を感じ取り、意味を考え、最善の判断を下すことだと思います。図面やデータでは表しきれない現場の空気感、わずかな違和感に気づく感性、そして「なぜこの仕事をするのか」を考える力は、人ならではのものです。また、仲間やお客様との対話を通じて信頼関係を築き、期待を少し超える工夫を重ねていくことも、人にしかできません。AIや機械が進化しても、最終的に安全や品質を守るのは人の判断です。効率だけでは測れない想いや責任感を持って向き合う。その積み重ねが、ものづくりの価値を高めていくと考えています。

  • AIや自動化が進む時代に、人の価値はどこにあると感じますか?

    AIや自動化が進む時代だからこそ、人の価値はより明確になると感じています。私たちはAIを積極的に受け入れ、バックオフィスやデスクワークなどの仕事は任せる。そのうえで、人は人にしかできない領域に集中すべきだと考えています。現場での判断力、違和感に気づく感性、相手の立場をくみ取る対話力、そして責任を引き受ける覚悟は、人ならではの価値です。また、感動は必ずしも効率の先にあるものではありません。少し遠回りをし、手間をかけ、相手を想って行動する。その“非効率”の中にこそ、人の温度や感動が生まれます。AIと人が役割を分かち合い、人の価値がより輝く社会を目指したいと考えています。

  • 若者に“これからの時代を生き抜く力”として身につけてほしいものは何ですか?

    若者にこれからの時代を生き抜く力として身につけてほしいのは、「変化を前提に考え、動き続ける力」だと思います。正解が一つではない時代だからこそ、答えを待つのではなく、自分で問いを立て、考え、まずやってみる姿勢が重要です。うまくいかなかった時に立ち止まるのではなく、振り返り、修正し、もう一度挑戦する。その繰り返しが力になります。また、周囲と対話し、人の意見を受け入れながらも、自分の軸を持つことも欠かせません。知識や技術は後から身につきますが、素直さ、実行力、学び続ける姿勢は一生の武器になります。変化を恐れず、自分を更新し続けられる人が、これからの時代を切り拓いていくと考えています。

  • 働く上で大切にしている4つの行動「思いやる」「学ぶ」「行動する」「熱くする」は、それぞれどのような思いで設定されたのですか?

    当社の行動指針である12ブロックの中でも、「思いやる・学ぶ・行動する・熱くする」の4つは、私自身が経営者として、また一人の人間として特に大切にしてきた価値観です。
    「思いやる」は、人と人との信頼が仕事の質を決めると実感してきたからこそ欠かせない姿勢です。「学ぶ」は、立場や年齢に関係なく成長し続けるための原動力。「行動する」は、考えるだけで終わらせず、現実を動かすために必要な力です。そして「熱くする」は、本気で向き合うことで周囲の心を動かし、組織にエネルギーを生むと信じているからです。この4つは、私自身の生き方そのものであり、社員にも共有したい行動の軸です。

  • 大学時代に経験しておくべきことは、何かありますか?

    大学時代にぜひ経験してほしいのは、「深掘りすること」です。勉強でも、アルバイトでも、サークルや研究、AIでも構いません。大切なのは、表面で終わらせず、「なぜそうなるのか」「どうすればもっと良くなるのか」を考え抜くことです。その過程で、自分なりの考え方や判断軸が育っていきます。もしチャンスがあれば、起業に挑戦してみるのも良い経験だと思います。また、可能であれば留学にもぜひ挑戦してほしい。異なる文化や価値観の中に身を置くことで、自分の当たり前が崩れ、視野が一気に広がります。私はできなかったからこそ、若いうちに世界に触れる経験を強く勧めたい。深く向き合った経験と外の世界に触れる体験は、その後の人生を支える大きな財産になります。

  • 御社の人材育成について、一貫生産の工程を行っているため各工程の人材が本当に基礎から学んでいる点が素晴らしいと感じました。この点について、どのように実現されているのでしょうか?社内に非常に整った研修制度があるのでしょうか?

    当社の人材育成の特徴は、明確な人事方針や制度、教育研修を土台としながら、「仕事そのものが育成の場になる」よう設計している点です。一貫生産を行っているからこそ、工程ごとの役割だけでなく、前後の工程や全体の流れを理解しながら、基礎から学べる環境があります。若手はまず安全や基本作業を徹底し、先輩と共に現場に入りながら段階的に経験を積みます。その中で、なぜこの作業が必要なのか、次の工程にどうつながるのかを対話を通じて学んでいきます。さらに、キャリアプランシートや面談を通じて成長の方向性を共有し、一人ひとりに合わせた育成を行っています。制度に支えられた環境の中で、人が人を育てる文化を大切にしています。

  • 再生エネルギー分野への転換を進める中で、今後どのような技術や人材が特に重要になるとお考えですか?

    再生エネルギー分野において重要になるのは、特定の設備技術だけでなく、「設備全体を理解し、長期的な視点で安全・安定稼働を支えられる力」だと考えています。発電方式や扱うエネルギーは変わっても、設備の本質はプラントであり、配管・機械・据付・保全といった基礎技術の重要性は変わりません。そのうえで求められるのは、新しい技術や仕組みを学び続ける姿勢と、現場で状況を読み取り最適解を導く判断力です。人材面では、専門分野に閉じこもらず、全体を俯瞰し、関係者と対話しながら課題解決できる人が欠かせません。技術と人間力の両輪が、再生エネルギー分野でも競争力になると考えています。

  • 国際展開を進める中で、外国人材との協力について特別な方針や計画はありますか?また、その際に重視される外国人材の特性や能力はどのようなものですか?

    外国人高度人材や労働者の活用において当社が最も重視しているのは、当社の理念や価値観を理解し、同じ方向を向いて仕事ができるかどうかです。技術力そのものよりも、学ぶ姿勢、素直さ、そして対話力です。現場では、安全や品質を守るためにも、丁寧なコミュニケーションと相互理解を重ねながら、人が育つ環境づくりを進めていきたいと考えています。具体的には、設計や施工管理、配管製造といった分野で力を発揮してもらい、現場と全体をつなぐ役割を担ってほしい。多様な人材が安心して能力を発揮できる仕組みを社内に確立することが、これからの成長にとって非常に重要だと考えています。

  • 国際業務の拡大に有利となるため、外国人材との協力も検討できると思います。海外市場向けに人材育成や採用計画を構築し、特に多言語能力や異文化適応力、プラント運営経験を持つ外国人材を活用することで、国際競争力の向上が期待できます。また、既存のオープン・ファクトリーのモデルと連携させ、日本で培った教育制度を海外展開することも可能だと考えます。

    ご提案の方向性には大いに可能性を感じています。ポイントとなるのは優秀な人材の確保だと考えています。現時点では、当社には国際業務に本格的に従事できる人材が十分に育っておらず、まだ現実的とは言えない部分もあります。ただし、今後、優秀な外国人高度人材を受け入れたり、グローバルな視点を持つ社員が育ってくれば、国際業務の可能性は一気に広がります。現地の外国人材やサプライヤーとの協力、海外展開も、その延長線上に自然と生まれてくるものだと思います。日本で培ってきた現場教育や技術伝承の力も、人が育ってこそ海外で通用する。まずは人づくりを徹底し、その結果として国境を越えた挑戦につなげていきたいと考えています。

講義が終わって

若い方をはじめとした社員を大切にする会社だと感じ、自分が将来の職業を選択する際に「環境」と「人」を重視することも大切であると感じた講義でした。今後の自分の進路選択に活かしていきたい話がたくさんあり、とてもためになりました。
愛媛大学 社会共創学部 学生
愛媛大学での特別講義を通して強く感じたのは、学生の皆さんがとても素直で、物事を深く考えようとしていることです。多くの質問から、働くことや成長、人の価値について真剣に向き合っている姿勢が伝わってきました。私自身、100の質問に答える中で、自分たちが大切にしてきた理念経営や人本経営は、学生の皆さんの関心としっかりつながっていると実感しました。また、正解を求めるだけでなく、「なぜそうなのか」「自分ならどうするか」を考えようとする姿勢に、これからの時代を担う力を感じました。この講義が、皆さんにとって自分の軸を考えるきっかけになり、将来どこかで一緒に仕事ができるご縁につながれば、これほど嬉しいことはありません。
株式会社大石工作所 代表取締役社長 大石 憲一

株式会社大石工作所
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〒792-0893 愛媛県新居浜市多喜浜六丁目2番45号
TEL 0897-46-1160
公式サイト http://ois.gr.jp

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